短編集

□似ている声
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「スコール。」

今日は珍しくティーダと二人でパーティを組まされた。
歪を一つ終わらせた所で休憩中…といった所だ。

「…なんだ。」

「もっとさ、低い声出してみてくれよ。」

……何故俺がそんな事をしなければならない。
俺はいつもの様に眉間に皺を寄せ、ほんの少し睨む様にティーダを見た。

「似てるんだ。」

「は?」

「俺の後見人に。」

後見人…どう言うことだ?
お前の父親であるジェクトとは今現在敵対しているだろ?
父親が居るのに後見人だと?

「俺も分かる様になってきたなー。今、『どう言うこと?』って思っただろ!」

そう聞いてムッとするとティーダは図星ッスねと明るく言った。

「親父な、七歳の時…行方不明になったんだ。
その一年後に母さんが死んで…その直前に来たのがアーロン。
ほら、後見人後見人。」

「…で、その後見人と俺の何処が似ているって言うんだ。」

「まず落ち着いてる、っていうか冷静なトコロだろー?
次になんだかんだで仲間思いなトコロ。
後はー…声の感じとか、顔に傷があるとか?
あ!いつも皺寄せてそうな雰囲気も!」

傷は関係無いだろ!
それに、そいつの影を重ねられても俺は知らないし困る。
俺は俺だ、他の誰でもない。

「ねーえー!頼むよスコール!!」

「…他を当たれ。」

「あっ!その怒ってる感じ!ねえ頼むよスコール!」

「しつこい。」

俺はそのまま次の歪を探しに歩き出した。

「スコぉールぅぅ……」

背後からティーダの泣きそうな声が聞こえる。
いや、実際演技だろう。
だが、俺はティーダの声に凄く影響…というか反応させられやすいらしい。
この声を聞くと何とかしてやらねばというか…なんというか…放って置けなくなる。

「…で、どうすれば良いんだ?」

少し低めに声を出して聞くとティーダの表情はいつもの太陽のような笑顔に戻った。
 

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