短編集

□世界の終わりと俺の終わり
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なんだよ、バッツの馬鹿。
なんで…見つけてくるんだよ。
せめて他の世界の持ってこいよ。

冒険とか言ってバッツとジタンがスコールを巻き込んで偵察に行った。
そして帰って来た時バッツが「見ろよこれ!俺が見つけたんだぜ!!」って言って召喚石を皆に見せたんだ。

その召喚石は運が良いのか悪いのか俺の世界の…スピラのバハムートだった。
バッツの斜め後ろに居る紫の服を着た少年が『ごめんね』って言ったのが分かった時俺は全部思い出した。
急いで俺は前見つけた湖に走ったよ、泣いてる顔なんて見られたくないし。





『ごめんね』




「なんだよ…何で、俺ばっかり…っ…」

俺は…祈り子の夢で、もう消えてるんだろ?
それなのにどうして…こんなトコに居んだよ…

「何で俺ばっかりこんな目に会うんだよ…!」

『ごめんね』

「コスモスとグルなのか?…なあ、答えろよ!どうして!…俺なんだよ……」

目から涙が零れる。
声も震えている。
ダメだ、止まらない。

『……』

「バハムート、もう謝んなくて良いからさ…頼むから、一人にさせてくれ。」


バハムートの祈り子は静かに消えた。
俺は湖の中に入り、声を殺して泣いた。









最終決戦だ。
もうそろそろすればリーダーが行こうって言い出すだろう。
やだなぁ…やだなぁ…
俺、また消えんの?
そんなの…やだ。



「一旦受け入れちまえ。」



「そん中から見つけていきゃあ良い。
自分が進みてぇ本当の明日を。」




親父、アンタ言ったけど…
俺、受け入れてもダメだよ。
明日なんて来ないだろ。
このまま全部終わって消えるだけだろ。


『ごめんね』


ザナルカンドで聞いたあの時のと変わらない声で言う祈り子。
もう、良いって。
うだうだしてても仕方ないよな。
俺、決めてるよ。
つかこれしか選択肢無いけど。










「全て、終わったのだな。」

リーダーの一言は俺の終わりを告げた。
身体が光り初めて、自分の体重が感じられなくなる。
あの時と同じだ。

「お別れ、かーーー」

皆の目が俺に向くのがわかる。

「大丈夫、この先はクリスタルが導いてくれる。
それにーーー




俺は此処にいるから!」

精一杯明るい声出したけど、大丈夫かな。
泣きそうなのばれて無いよな。

此処で消えたらまた会えるかな。

従姉妹を必死に守ろうとした明るい親友に
無口で案外優しかった獣人に
少し厳しい美人な黒魔道士サマに
大きくて優しく接してくれた兄貴分に
無愛想で長い間側に居てくれた後見人に
不器用で愛情表現が苦手な嫌味ったらしい父親に
愛しい俺の守るべき召喚士に

じゃあな
ジタン
スコール
クラウド
ティナ
バッツ
セシル
オニオン
フリオニール
リーダー

皆は元の世界で幸せになってくれよな?









『ごめんね……ありがとう』
 

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