独奏の堕天使

□☆十七歳〜十八歳編☆再会
1ページ/5ページ

それから皆とはミヘン街道の入り口で会うことを約束してから別れ、私はブリッツの試合を見ることにした。

相変わらずなゴワーズに優勝だ!と意気込むオーラカ、島を元気付けようとするビースト。

今年は面白みがありそう。

事前に取っておいた最前列で私は試合を見ている。

オーラカの初戦はサイクス。
ティーダが居ないがまあ、実力で言えば勝てる相手だろう。

だが…これはふざけている。
今のはファウルだし、さっきのは退場モノだ。
こんなふざけた試合があるか!

私は呆れてスタジアムを後にした。







私が次に来たのはカフェ。
当たり前のように人で溢れていて席なんて空いているわけが無い。
そこで、一番良い位置に座っている男性に声をかけた。

「ごめんなさい、ちょっとお願いがあるんだけど。」

「なんだよ!今良いところなのによぉ!!」

ここに最前列の席のチケットがあるわ、その席譲って貰えるなら貴方にあげますけど。

耳元で男性に言う、周りに聞こえないよう。
男性は快く承諾してくれて私はカフェの特等席に座ることが出来た。



「なんであげたんだい?」

カフェの店員さんが私に聞く。

「サイクスは反則ばっかり。正々堂々とした試合を見れないならここのモニターでも十分よ。
試合さえ見れれば良い客に譲ってあげたの、所持金も有り余ってるし。
アイスコーヒー、ブラック貰える?」

「確かに、ありゃあ…ちと見るに耐えない試合だねぇ。
はいよ。」

私はコーヒーを受け取り口に流し込みながらモニターを見る。
一応勝った様だがワッカ兄はズタボロね。

「…さいってー。」

「本当、何がしたいんだか。
でも、久々にビサイド・オーラカが勝ったじゃないか!めでたいね。」

「それもそうね、オーラカは今回目標が違うから…かしら。」

「目標かい?」

「『精一杯頑張る!』からある選手のおかけで『優勝』に変わったって話は聞いたわ。多分、次の試合で出るんじゃないかしら。」

「それは気になるね。
そういやぁアンタ、職業はなんだい?見たところ寺院の人では無さそうだし…でもそれ以外で儲かる仕事なんて殆どないだろ?それに、アンタ太刀に片手剣なんて飛んでも無い荷物じゃないか。」

いきなり店員さんが職業について聞いてきた。
…まあ、半分はさっきの発言に対してだろう。

「これでも討伐屋をやってましてね、片手剣は昔大切な人に貰った物で…太刀が使えなくなった時の予備としても持ってるんですよ。」

そう言うと店員は納得した様な表情て「あぁ!」と言った。

「アンタが噂の討伐屋か。てっきりゴツいにーちゃんかと思ってたよ。」

「っはは、それは残念だった?かっこいいお兄さんじゃなくて。」

「そんな事言ってないじゃないか。」

お互い笑交じりに会話をして行くと店員さんがいきなり別の話をしだした。

「ロンゾどもが喧嘩する前くらいの話かね、ある男が「討伐屋の娘に会ったらこれを渡してくれ。」って白紙の紙を横したんだ。」

「ある…男?」

手渡されたのは本当に何の変哲もない白い紙。

「その人は「黒の9ページと言えば分かる。」と言って去ってったんだけどね、アンタは分かるかい?」

そう言われて考える。

黒の9ページ…
ページとなると本

………まさか!

「全魔法解説黒魔法の部の9ページはファイアのページ…」

「よくそこまで覚えてるね、その本なら家にもあるよ。で、それがどうしたんだい?」

「炙り出しをやれと…言うわけね。」

そう言って私はファイアの威力を調整してから紙を自身の手に浮かぶ炎に近づける。

そして現れた文字は………
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ