独奏の堕天使

□☆十七歳〜十八歳編☆主の娘と護衛の息子
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「なんか、あったのか?」

寺院に入ってすぐ、ワッカ兄を見つけたティーダは近くに行ってこう聞いた。
ワッカが僧官の人と深刻そうに話していたからだ。

「召喚士が帰って来ない。」

「あ?」

「あー…」

「いや、正確には従召喚士だな。」

ワッカ兄はティーダに説明を始めた。
案外分かりやすい説明だったが、ティーダには誰かが奥の奥から帰って来ないとしか伝わらなかった見たいだ。

「ほんっとに長いなぁ……」

「どうして助けに行かない?」

「もちろんガードがついてるし、なにより掟だし……」

『掟』
不安定な『掟』にスピラの民の殆どが縛られて居る。
本当、馬鹿だよね。
このスピラにはアルベドの皆みたいに柔軟な発想が出来る人が沢山居るべきだよ。

「もしもの事があったらどーすんだよ!死んじまったらお終いだろ!!」

ここで案外落ち着いて居た様に見えたティーダが声を荒げ、試練の間へと続く階段を登って言った。

「掟を破ってはなりません!!」

さっきまでワッカと話していた僧官がティーダに向かって言う。

だが、それを無視してティーダは

「しるか!!」

試練の間へ入って行った。

「あぁ……!」

「掟破りだ……!」

「ここの世間的には駄目だけど、人として正しい事をしたね、ティーダ君。」

周りが動揺する中私は落ち着いて言った。

「俺、追いかけてくるわ。レインは待っていろよ。
ガードじゃ無いんだからな。」

「はいはい、行ってらっしゃい。」
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