独奏の堕天使

□★七歳〜八歳編★終わり
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〜fromナギ平原旅行公司〜


『ブラスカ!アーロン!レイン!出たぞ!!』

ジェクトの声により私は目覚める。
私達が旅行公司に到着した次の日の朝に『シン』はナギ平原へ姿を現した。
私は急いで戦闘の準備をし、ブラスカ達の所へ行く。

「行こうか、決戦だ。」

ブラスカがいつもとは違う真剣な表情で言った。


〜〜〜〜〜


「私は召喚の準備をする。二人とも、時間を稼いでくれ!」

「了解!!」

「分かりました!行くぞ、レイン!」

「うんっ!!」

ブラスカからの指示を受け、私はアーロンと一緒に『シン』のもとへ走り出す。

「はぁぁぁっ!!」

「『フレア』っ!!」

アーロンが斬りかかり、私は魔法で足止めしようとするが……

「くっ………。」

「効いている……気がしないっ……。」

手応えが一切無い。
『シン』は私とアーロンの攻撃など無かったかの様に魔法の様なもので攻撃を仕掛けてくる。

「ぐっ……あぁ!!」

「きゃあっ!!」

攻撃をまともに食らって後方に吹き飛ばされる私達。

「『ケア……ルガ』っ!」

私は急いでアーロンに回復魔法をかける。

「『シェル・プロテス』」

更に攻撃軽減の魔法をかけ、もう一度『シン』のもとへ。

「今のうちに……祈れっ!!」

「『アルテマ』!!」

今度は僅かに効いた手応えがあり、私は内心喜ぶ。
が、喜んでいる場合じゃ無い。これは私の使える魔法で一番強いものだからだ。


その後反撃を多少食らいつつ私はアルテマを連続で二回、アーロンが陣風をした所で



………『シン』が攻撃対象を私達からブラスカに変えた。




恐らく召喚する時の魔力を感じたからだろう。
ブラスカは集中していて気付いていても『シン』の攻撃をかわすことも防御することも出来そうにない。

しかも今回の攻撃は溜めが長いから威力が高いはずだ。


このままでは……


私は動きにくい傷付いた体でブラスカの所へ走った。
左腕や腹部、様々な部分が悲鳴をあげているが知ったことか。

そしてブラスカの前に立ち……

「『リフレク』っ!!」

全力で周囲にリフレクを展開した。
それとほぼ同時に『シン』がブラスカを狙いビームの様なもので攻撃をする。
私のリフレクはそれを受け止めたが、今にでも割れそうだ。

「レイン!」

私の名をブラスカが叫ぶ様に呼んだ。

「きっ…つー……、ブラスカは集中してて!!」

「だが、このままでは!!」

「私……は!ブラスカの、ガード…なんだからっ!!」

そう言ったのと同時に私のリフレクは割れて、消えた。
ビームの軌道を少し変えるようにしていたのでブラスカは無傷。
………だが私は直撃してしまった。

「っああぁ!!」

「「レイン!!」」

私はまた後方に吹き飛ばされる。

「アーロン!レインを頼む!!」

「しかしっ……」

「準備が、出来たんだ。」

「…………はい。」

アーロンが走って来る。
ダメだ、指先でさえも動かせそうに無い。
意識を保つだけで精一杯だ。

「大丈夫か!?」

アーロンが私を抱えて旅行公司の方に走る。
大丈夫だと返事をしたいところだが痛みで声が出せそうにない。

「っ!!」

アーロンがブラスカの方を見る。
私も見ようとするが、意識が……持たない。

最後に見たのはまるで人の様な体で、胸から腹部にかけて白い刺青をしている見たこと無い召喚獣らしき生き物と、その隣に立つブラスカ。
『遂にこの時が来てしまった』とでも思っていそうな悔しそうにブラスカと召喚獣を見るアーロンだった。


………あれ?ジェクトは何処に行ったんだろう??

●●
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