独奏の堕天使
□★七歳〜八歳編★到着
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高台から機械の大都市……だった物を眺める私達。
聖地のガーディアンとの戦闘を終え、疲れている私達は大都市の遺跡が日暮と共にオレンジ色に染まっていくのをただ黙って見ていた。
旅の最終目的地。
そして私とジェクトの故郷かもしれない街。
だが、此処に来てなんとなくだが分かった事が一つある。
此処は…………私の暮らしていたザナルカンドではない。
ガッカリしなかった……と言えば嘘になる。
私の暮らしていたザナルカンドだったら―――
……あ、遺跡の状態じゃなくて普通の街。
そうだったら良かったなーって思ったりしてる。
だってアーロンとの約束がもう達成出来たかもしれないから。
〜〜〜〜〜
今、私たちは少し開けた場所で休憩を取っている。
もう少ししたら出発するんだろうな。
「………あ、」
私はもう暗い空を見てふと思った。
この月の形は…………
「どうしたんだい?レイン。」
ブラスカが空を見てぼーっとしている私に聞く。
「今日って……9月14日?」
「うん、そうだけど……それがどうしたの?」
ブラスカの質問には答えず逆に質問する私。
「明日は………二人の命日。」
「あっ、成る程ね。」
私の答えに納得するブラスカ。
その直後
「辛気くせー言い方すんなよ、自分の誕生日だって素直に言えば良いじゃねーか。」
ジェクトが会話に入ってくる。
そうだった。
今まで命日としか考えられなかったけど、明日は私の誕生日でもあるんだ。
「……ありがとう。」
「レインの誕生日かー、それなら。」
そう言うとブラスカは自分の手首に着けているブレスレットを一つ外し、私の手首に着けた。
「これは私からの誕生日プレゼントだよ、受け取ってくれ。」
「えっ、でも………」
私は自分の手首で青く輝いているブレスレットを見て言った。
誕生日プレゼントなんて三年ぶり。
嬉しいのだがこれは………
『 アビリティ
・HP限界突破
・MP消費1
・リボン
・オートST回復 』
かなり凄くないですか?
「こんな凄いの貰えないって!!」
私は自分の手首から貰ったブレスレットを外し、ブラスカに渡そうとするが……
「良いんだ、貰ってくれないか?」
私の手を両手で握り、阻止するブラスカ。
その目を見ると、なんか悲しそうでとても断れなくなってしまう。
「分かった、ありがとう!」
「うん、どういたしまして。さて!出発するとしようか。」
「………はい。」
ずっと無言だったアーロンが返事をする。
そして私達は出発した。
終わりへ向かって