独奏の堕天使

□★七歳〜八歳編★苦手な物
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どごぉぉぉん!!!!

「ひっ!……」

雷の音にビクッ!とする私。
ここは雷平原、雷が止まない平原。
つまり…………



どごぉぉぉん!!!!



ビックゥゥ!!!


私の苦手な物、『大きな音』が沢山……

「大丈夫かい?」

「カミナリがこえーのか?レイン。」

「まだ子供だと言うことだな。」

ブラスカが心配し、ジェクトとアーロンが子供扱いしてくる。
カミナリじゃなくて音だからねっ!

「カミナリが苦手な訳じゃ《ビクッ!》無いって……」

「説得力ねーぞ。」

ニヤニヤしながらジェクトが言ってくる。

「五月蝿いぃ!!」

「おわっ!!何しやがる!」

ジェクトに私のファイガが襲いかかるが流石に戦闘に慣れてきたのが単純な魔法なら避ける。

「だ、黙っててぇ…………」

耳を塞ぐのに精一杯の私。

「行きましょう、ブラスカ様。こんな奴等は放っておいて。」

アーロンが冷たい言葉を言う。
酷いよ……

「そうだね。レイン、大丈夫?」

「あっ、足手まといにはなりません!!」

「では、行きましょう。」

こんな感じで私の地獄の二日間は始まった。

〜〜〜〜〜


「旅行公司ぃ……」

「こんな所で休んでも雷は止まんぞ。」

かなり泣きそう(泣いてはいない!)な声で旅行公司と言ったらアーロンが私にキツイ言葉を放った。
だから……

「苦手なのは雷じゃ無くて……」

「アーロン、良いじゃねーか。今日も十分歩いたしよ。」

「そうだよ、急ぎすぎて倒れてしまったらいけないからね。」

「……わかりました。」

ジェクトとブラスカの意見にアーロンは了承する。
それを聞いた私は雷の音にビクビクしながら静かに旅行公司に入っていった。



「助かったぁ……」

私は旅行公司に入ってすぐに入口兼受付にある椅子に腰を下ろし一言。
やっと耳がましになり、多少ぐったりする。

「休むなら部屋で休め。」

ブラスカ、ジェクトと共に旅行公司に入ってきたアーロンが相変わらずの鋭い一言を私に突き刺す。
でもこれは『部屋でゆっくり休め』って言っているのと同じなのでそう言った意味で受け取っておく。

「はぁーい……」

少しダルそうな声で返事をし、私は立ち上がって三人のもとに行く。

「おや、ブラスカ様とそのガードの方々ではありませんか。」

背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

「貴方はあの時のオーナーの方ですよね。」

「はい。名乗って居ませんでしたね、旅行公司のオーナーをしているリンと申します。」

ブラスカの問いに変わらない商売用と思われる笑みでリンは答える。

「泊まりですか?」

「そうだよ、リンさん。」

リンは私達に今回来た理由を問う。
私はそれに対し素直に答えた。

「それでは皆様此方へ、部屋は何部屋要りますか?」

「大部屋一つで十分だ。」

「かしこまりました、案内させて頂きます。」

私達はリンについていった。
案内されたのはアーロンが答えた通り大部屋、ベッド四つの普通の部屋の二倍大きさの部屋だ。
私達を案内したリンは「どうぞ、ごゆっくり。」と言って入口の方に去っていった。

「それにしても旅行公司入ったら急に元気になったなぁ、レイン。」

静かになっていた部屋の中でジェクトは私に向かって聞いてくる。

「だ・か・ら!私は雷が嫌いな訳じゃ無いの!ただ、あのくらいの大きな音が苦手なだけ。」

何度も雷に遮られていた言い訳を私はジェクトに言う。

「何か原因でもあるのか?」

それに対しアーロンが私に聞いてくる。

「……うん。」

少しテンションが下がった声で答える私。


原因……
今は殆ど思い出せない五歳になる前の記憶の中で唯一鮮明に残っている四歳の誕生日のあの日。

「話そっか。」

私は話し始めた。
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