NARUTO疾風伝短編

□銀色の先輩
1ページ/1ページ

空はもうすっかり暗く月明かりが私達二人の道を照らしてくれていた。

木の葉の里は、もう目と鼻の先だ

「後少しですね、カカシ先輩」
私は、はたけカカシの一個下の後輩にあたる。
「うん、そうだね…………こんなに夜遅くに帰ってくるのなんて久しぶりだよ」
カカシは、ちらっと空を見た。
月明かりのせいで星はほとんど見えない。

「いつもは、ナルトくんやサクラちゃん、新しく入ってきたサイもいますからね」
私は、簡単にそう言ったけど何か心に引っかかった。
「あと…………サスケくんも………離れて入るけど、カカシ先輩大切な教え子ですからね!」
心に引っかかった何かが外れた
カカシ先輩を傷つけてしまったかもしれないと思った。

すると、カカシは止まった。
私も同じように止まる。

「そうだね………サスケもいる…………今はいないけど、きっと戻ってくる………」
カカシは、振り返って続けた、
「でも、連れ戻してくるのは俺じゃない…………俺じゃない誰かなんだ」
カカシは、とても悲しそうな顔をして言った。
「ナルトくんですか?」
私は思ったことを言った。
きっと誰もが思ってしまうだろう、なんせ彼はもう木の葉の英雄なのだから
「俺もそう思う…………でも、あいつだけに木の葉の全てを背負わせるわけにはいかないだろ…………あいつは、とっくに俺を超えてるけど……全部一人で抱え込むからね」
カカシは、紛らわすかのように頭をかいた。

私は思わずカカシを抱きしめた。
「私達でナルトを支えてあげればいいじゃない…………そうすればナルトくんも気付いてくれますよ………だから、カカシ先輩も一人で悩まないで、泣かないで………」
カカシは、目から涙を零していた。
「あれっ………」
自分では気付いてなかったようだ。

「ナルトくんは強い…………もう、私たちよりずっと強い…………あの子はもうアカデミーで一人ぼっちだったナルトくんじゃないから、彼には仲間ができた………先生や師匠もできた………彼はもう一人じゃない」
私がそう言うとカカシ先輩は、思いっきり私を抱きしめた。

「カカシ先輩…………?」
まさか、抱きしめ返されるとは思わなかった。
「ごめん………… アンズの言う通りだね…………俺達は、ナルトを全力で支えればいい、それがきっとナルトの力になるし皆の力にもなるか……………」
カカシは、私を抱きしめながら言った。
「うん、そうですよ…………きっと大丈夫……………」
私は、ただ一言そう言った。

それからしばらくの間二人で抱きしめあった。

「あのぉ、カカシ先輩…………そろそろ里に戻りませんか?」
私はカカシ先輩の顔を見た。
すると、カカシ先輩の顔が目の前にあったのでびっくりした。
すぐに逸らしたけどきっと気付いていると思う
私の顔が赤かったことを
「そうだね、戻ろうか」
カカシ先輩はそう言って私から離れた。
抱きしめられたところはまだほんのりと温かかった。

そして、里に向かってまた木々を飛び交った。
その途中突然カカシ先輩が
「好きだ」
と言った。
「は?」
私は、カカシ先輩を見た。
ちょうど左側にいたので表情なんか全く見えなかった。
「だーかーらー、俺はアンズが好きなんだよ」
カカシ先輩は、少し声を張って言った。
「カカカカカカシ先輩が………………私をっ!?」
少しテンパってしまった。
そんな、私をカカシ先輩は笑った。
「そう、俺はアンズが好きなの、ずっと前からね……………やっと伝えられた」
カカシ先輩の声は穏やかだった。
「私もっ……………私も、カカシ先輩が好き」
私は、カカシ先輩の後ろでそっと答えた。
これは、私の本心だ。

「ほんとっ!?」
カカシ先輩は、後ろにいた私をまた思いっきり抱きしめた。
「てっきり俺振られるかと思ってたんだよね」
カカシ先輩の顔は笑顔だった。
「これからの戦い…………生き延びないといけませんね」
私も笑った。
「そうだね…………木の葉のためにも俺たちのためにもね」
カカシ先輩は、私のおでこにキスをした。

月明かりが私達二人の道と私達二人を照らしていた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ