怪盗ジョーカー

□眠る十字架は死への誘い
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美術館は厳重な警備の元、あの十字架が展示されていた。皆目を輝かせてそれを見つめていた。
「………。」
ジョーカーはクイーンよりも早くここに到着していたため、大体の警備の数を把握していた。そして、カナロアを探した。カナロアは呑気に欠伸をしていた。それに少し驚くジョーカー。こいつが今のパートナーで大丈夫か?そう心配していた。

一方クイーンは、そんな欠伸をしていて、十字架の近くに居る警備員、カナロアに目を付けた。
「………彼を、使おう。どうやら、ヤル気の無い警備員のようだ。」
「はい。」
クイーンの合図の元、RDは美術館の電気を消し、停電状態にした。その隙にジョーカーはカナロアの方に近付き、殴りかかろうとした。だが、止められた。
「!?」
「残念だったな。さっきから殺気立てて俺の方を見てたから、分かってたのさ。………ジョーカー、今のうちに!」
え、ジョーカー?自分の事を言われているのか?そう思ったジョーカーは、一旦動きを止めたが、慌ててまたカナロアを攻撃しようとした。だがカナロアはもうそこには居なかった。
「!クイーン!」
「分かっている!」
クイーンとジョーカーは、ケースに十字架が無い事を確認すると、十字架を盗んで行った奴らを追いかけた。他の警備員は皆もう眠らされていた。




ジョーカーとカナロアは上手く裏口へと逃げていた。
「しかしすげーな。何で警備員が追って来ないんだ?」
「ハチが全員眠らせてくれたのさ。………それにしても、他の怪盗が居たとは……。」
走りながらカナロアは、考えていた。
「……………俺に殴り掛かって来た奴、何か、ジョーカーって呼んだら引っかかってたぜ?」
「え?………うーん。」
自分たちの飛行船まで後ほんの数メートルと言った時に、突然発砲された。いや、トランプを投げられた。
「ちょっと待ってもらおうか。」
ジョーカーとカナロアの背後に居たのは、カナロアに殴り掛かって来た、中国服に身を包んだ男と、銀髪の長髪で、男か女なのか分からないぐらい、美しい人物が居た。
「それは私が狙っていた獲物だ。………君にはそれは勿体ない。」
「知るかっ!俺だってこれを狙っていたんだ!誰がおめーなんかに!!」
「………やれやれ。私は手荒な事は嫌いなんだが。……ジョーカー君、やりますか。」
「はい、クイーン。」
その名前を聞いて、びくっとしたジョーカー。すると、次の瞬間、二人がジョーカーとカナロアに攻撃を仕掛けて来た。慌てて避けるが、ジョーカーはその拍子にこけてしまった。
「!ジョーカー!!」
カナロアが叫んだが、それに反応したのは、クイーン側のジョーカーであった。
「………やっぱり。どうして僕と同じ名前なんですかね。」
「ドッペルゲンガー?それにしては、似てないね。」
「つまらない冗談を言わないで下さい。」
クイーンはしゅん、としてしまった。だがまた戦闘態勢に入る。ジョーカーが立ち上がった時だった。突然ジョーカーにロープのようなものが結びついて来た。
「なっ何だぁ!?」
抵抗は虚しく。ジョーカーを縛っているロープは、上空に居るヘリコプターから伸びているものであった。そして、そのままジョーカーを回収していた。
「放せよ!おい!!カナロアーー!!」
カナロアは持っていた拳銃でヘリコプターを打ったが、外れてしまった。今度はロープを打とうとしたが、風が吹くせいで、なかなか標準が合わない。双方しているうちに、ジョーカーはヘリコプターの中に、回収されていた。それを唖然として見ていたら、突然ヘリコプターから男が出てきて、地上に向かってマシンガンを乱射し始めた。
「!ジョーカー君、そこの男の乗って来た飛行船に逃げ込むよ!」
カナロアも一緒に逃げ、飛行船に乗り込んで、慌ててその場から逃げた。




大体離れた所で、ハチとカナロアは変装を解いてから、クイーンとジョーカー、と名乗る二人をソファーに座らせ、二人の事を聞いていた。
「……………なるほど。そりゃ、名前が被る訳だ。」
「世界って広いっすね。」
「……そんな事より、どうするんですか?あの、ジョーカーと言う男が、十字架を持っているんですよ?」
「いや〜、やっぱり日本茶って良いね。」
ハチはお茶を出してくれたので、それを優雅に飲んでいるクイーンであった。
「………クイーン!」
「………………まあ、十字架なら、此処にあんだけどな。」
そう言ってカナロアは、ポケットから十字架を出した。
「何故君が?」
「ジョーカーが、俺じゃ落とすからって。」
「ジョーカーさんらしいっす……。」
ははっと笑うハチ。
「………それを渡してくれない、ね。」
さっとポケットに十字架をしまうカナロア。
「条件。ジョーカーを助けだしてくれたら。」
「良いんすか?」
「ジョーカーの命程、宝何てねーさ。」
そんな台詞に、心を打たれたクイーン。
「……ふふ、ならば、協力しよう!RD、聞こえているかね?」
クイーンはピアスに付けられている小型マイクで、RDと話をしていた。マイクの音量を、皆にも聞こえる様にした。
【はい、五月蠅いぐらいに。】
「えっと、さっきのヘリ、もう検討は付いたかい?」
【はい。ジョーカーを攫ったのは、プロフェッサー・C(クローバー)と言う男をリーダーにした、“アルキュロス”と言う窃盗団です。しかもただの窃盗団ではありません。老若男女問わず、狙った宝の為なら人を殺す事で有名な窃盗団です。】
「プロフェッサー!?」
この中でハチだけが、それに反応した。
「何か、知っているのかい?」
「はい。………ちょっと待っててほしいっす。シャドウに電話して、来てもらうっす」
そう言ってハチは、シャドウに電話してここに来てもらうように言っていた。
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