怪盗ジョーカー U

□理由(わけ)
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僕が好きなのは、ジョーカー。彼はとても魅力
的で、憧れる存在だろう。けれどそんなジョーカーだからこそ、変な虫が沢山来る。そこが厄介だね。ジョーカーを独り占めにすると言う事は、とても難しそうだ。けれど手に入れたい。そんな欲望が生まれた。まぁ、無理な話何だけど。

何せ僕の立場が、探偵だからね。ジョーカーが嫌う捕まえる側と言う訳さ。全く……。素直に捕まってくれたら良いのに。君ぐらいだよ。僕から逃れられたのは。だからとっても驚きだ。
ジョーカーに会いたいな。



とか思ってフランスの町を歩いていたら、ジョーカーっぽい人を見かけた。やつの変装かな。
「あの、すみません……」
試しに声を掛けてみた。すると案の定、嫌な顔をされた。
「………やっぱり、ジョーカーか」
「うげっ、何で分かった」
「直感、かな。まぁ、安心してよ。捕まえる気はないから」
それを聞いたジョーカーは安心したのか、一息付いていた。
「暇かい?」
「変装してんだから、暇の訳ねぇだろ」
「おや、仕事か」
「おう。だから、邪魔すんなよ」
「そう言われたら、邪魔したくなるね」
「てめっ」
ジョーカーをいじるのは、とても楽しい。まぁ、ただ単に周りにこう言った反応をしてくれる人間が居ないだけだけどね。
「………まぁ、冗談はこれぐらいにして。良いよ、盗んで」
「え、マジ?」
「見逃してあげる代わりに、僕とお茶でもしてね」
「…………」
固まるジョーカー。おや、おかしな質問だったかな。
「良いけど……」
「なら、決まりだね。終わったら……そうだな。ここの喫茶店に来てくれ」
僕はジョーカーにその店の地図が描いてある名刺を渡した。
「んー……分かった。んじゃ、また後で」
「うん」
ジョーカーを見送って。僕はゆっくりその喫茶店に向かった。

先に居て、待ってれば良いしね。ちょうど持っていた本を読めば、暇潰しにはなるだろう。


あれから、2時間ぐらいかな?それぐらい経ってから、ジョーカーは店に来た。またさっきとは違う変装をして。
「悪いな、遅くなって」
「いや、大丈夫だよ。盗めたのかい?」
「ああ」
けどここにその宝は見当たらない。ハチ君にでも運ばせたのかな。
「今日のは、比較的簡単に盗めてさ」
「………そう言う話、探偵の前でする?」
「あっ、悪い」
はははっと笑うジョーカー。こっちは笑えないけどね。
「………まぁ、良いか。で、ジョーカー。何か食べるかい?僕が奢ってあげるよ?」
「えっ、マジで!?なら……」
本当に可愛いな。素直と言うか、純粋と言うか……。あっ、だから他の怪盗達が、ジョーカーに惚れてる訳か。今更理解出来た。まぁ、理解したくないんだけどね。
店員さんを呼んで頼んで。料理と言うかデザートか。来るまで僕は、ジョーカーにとあるお話をしようかと思った。
「ねぇジョーカー。ちょっとした話、聞かない?」
「ちょっとした話?」
「ああ。………とある怪盗のお話さ」
そう。イタリアの怪盗についての話。僕がずっと追い掛けていた怪盗について。変わってしまった怪盗についてね。

「むかし昔。イタリアに、とある怪盗が居ました。彼は……人々に悪夢を運ぶ怪盗でした。そう、人の幸せを盗み、悪夢に変えてしまう怪盗でした。けれど彼を見た女性達が言いました。何て格好良いんだろうと。それを聞いた彼は、徐々にその姿を変え、今では人々を魅了する怪盗となりました」
「………ん?その怪盗ってまさか」
「そう。君の察した通りだ。怪盗ナイトメア。彼の昔話だよ」
「あいつが、人々に悪夢って……」
名前から察せれないかな。僕はまぁ、昔の彼を知ってる訳だからね。
「僕はね、ずっとナイトメアを追っていたんだ。あいつは危ないから。けど今じゃ、ああだろ?追う必要も無くなってね。警察に任せてしまったよ」
「………」
初耳って顔だね。まぁ、フランスに居ない限り分からない話だろう。
「……そのナイトメアさえ君の虜って」
「えっ?」
「いや、なんでもないよ」
笑顔で返す。思わず声に出して言ってしまったよ。言うつもりなんてなかったのに。
「まぁ、ナイトメアの昔は……そんな感じだったって事さ」
「…………意外と言うか、有り得ないな」
「まぁ、ね。僕も初めは信じられなかったよ。けど、本人がそう言って来た訳だし。あぁ、ちなみに彼の本名と言うか素顔と言うか……。ナイトメア、大富豪の息子だよ」
「はぁ?!」
「本名は知らないけど、家柄なら分かってる。僕が調べた限りで、本人の確認は取れてないけど。けど、絶対そうだよ」
「はぁ………」
ごめんよ、ナイトメア。君の情報をかなり話しちゃってるね。けど、良いだろ?楽しいし。
「今度会ったら、聞いてみな?多分、君の為なら答えてくれると思うよ」
「………そうだと、良いけどよ」
そんな話をしていたら、デザートが運ばれて来た。ジョーカーは目を輝かせて、食べ始めていた。僕はそんな光景を眺めていた。


ねぇ、ジョーカー。僕の昔話も、聞いてくれるかな。
いつか話すから、聞いてくれよ?













END
(あとがき)


ナイトメアの勝手な過去を書いてしまって、すみません……。こうだったら良いなとか、勝手な妄想です。
ですが、これを今後も使って行くと思いますので、そこの所はお願いします。

ここまで読んで下さって、ありがとうございました。

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