怪盗ジョーカー U

□君の事が好き過ぎて
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俺は、いつの間にかジョーカーの虜になっていた。そりゃ、初めの頃は嫌ってたさ。けど、同じ時を過ごして行くうちに、好きになっちまってて。
けどあいつには沢山のライバルが居る。と、言うよりどいつもこいつもジョーカーの事を好きだってオーラ出してるから、邪魔なんだよな。

そこで俺が辿り着いた答え。

ジョーカーを監禁してしまえば、俺の目の届く範囲になる訳だし、アイツの事を四六時中見張れる。
そうだ、それが良い。


俺は今夜、決行した。




ハチに適当な嘘を付いて、ジョーカーを借りて。アイツが隙を作った瞬間に、俺はジョーカーを眠らせ、俺が用意した家へと連れて行った。



俺が見つけた良い家だ。前の持ち主が、監禁好きな奴で。その当時のまま、この家が残されていた。だから、俺には好都合。俺はこの監禁されつくされた家に入り、ジョーカーの部屋に、ジョーカーを寝かせた。
心配性の俺は、ジョーカーの首と足に鎖を付けた。これで、逃げられない。
後はこいつの目が覚める事を、待つだけだな。楽しみだ。


ジョーカーが目を覚ました時は、大変だった。暴れてな。けれど逃げれないと分かったのか。暫くしたら落ち着いた。
「……んでシャドウ。俺を監禁して、何がしたいんだ?」
「別に……。お前が他の男の所に行かなければ、それで良い」
「男って……。俺、そんなに男にモテてんのかな」
「………」
それが気に食わない。何故、俺のジョーカーに手を出そうとする。俺のジョーカーだぞ。ふざけんな。ジョーカーに触れていいのは、俺だけなんだよ。
俺はジョーカーの髪に触れた。
「ジョーカー……。いやジャック……」
するっと髪から頬へと移動する俺の指。俺はジョーカーの顎を掴んだ。
「良いか、お前は俺のものだ。だから、ここから出る事は許さない。けど、お前の主張はなるべく認めたい。だから、出さないけど、それ以外だったら何でも言え」
「………食いもんの事とかか?」
「ああ」
「………分かったよ」
これだけ物分りが良いと、助かる。けれど、何故だろう。もう少し反抗して欲しいと願う自分が居る。まぁ、コイツを傷付けてでも、俺はジャックをここに抑え込むだろうけどな。
「………ちょっと、待ってろ。今、飲み物を持って来る」
「あっあぁ」
俺は一度、部屋から出た。そこで確信した。俺以外の奴がジョーカーに触れている所を想像しただけで、腹が立った。こりゃ、重症だな。けど、そうだろ。俺のジョーカーなんだぞ。何俺の許可なく触れてんだ。そう思ったら、酷く腹が立った。壁を殴りそうになったが、この家には無断で出入りしてるから、壊せられない。俺は必死に堪えた。そして、キッチンに向かった。

取り敢えず水を。飲めば、落ち着くだろう。
水を注ぎながら、俺は色々考えていた。
ジョーカーを信じているが、もし逃げたらどうする?俺は、殺さずにいられるか?足をもぎ取る?そうすれば逃げられない。………って、俺は一体何を考えているんだ。殺すとか、好きなら駄目だよな。けど、そうしたい俺が何処かに居るから、俺が恐ろしい。


部屋に戻ると、案外ジョーカーは大人しかった。
「ほら」
「ん」
水を受け取り、何の疑いも無く飲むジョーカー。その事に、何かの優越感に浸っていた。
「………なぁ、シャドウ」
「うん?」
「俺の事、好きなのか?」
「そりゃあ……。好きで好きでたまらない。お前が欲しい。俺は、俺にはお前が必要何だ」
「だからって……」
監禁はやり過ぎってか?馬鹿野郎。これぐらいやらないと、お前は捕まらないだろ?当然だ。お前が俺の気持ちに早々に気付いていれば、こうはならなかったかもしれないが。
「………俺を監禁するのは良いけどさ。ハチが心配して、探しに来ると思うぜ?」
「それなら問題ない。仕事で暫く借りると言ってある」
「………手が早い事で」
その心が、俺を苛つかせた。他の男の事なんか考えるんじゃねぇ。俺だけを見てろ。そう言った感情が渦を巻いていた。
「……暇なんだけど」
「文句言うな」
「………はぁ」
確かに暇だな。これと言って、やりたい事もないし。まぁ、ジョーカーを監禁出来た事に、俺は嬉しくてたまらないが。それだけでも、一日を過ごせるような気がした。




なんやかんだで一週間ぐらいが過ぎた。そんな時、ハチが探しに来てしまい、ここがバレた。奴はしっかりしていて、探偵のビリジアンも一緒に来させていた。そして俺を捕まえた。そしてジョーカーから、離れさせられてしまった。その事が何より憎かった。殺してやろうかと思ったぐらいだ。
ジョーカーはハチの所へ帰ってしまい、俺は捕まった。けれど、怪盗の俺を舐めてもらっては困る。俺はそこから逃げ出し、次はどうやってジョーカーを誘き出し、監禁するか悩んでいた。


次は、徹底的に監禁する。俺だけを見ていられるように。俺以外を見ないように。










「………ジョーカーさん。何でシャドウ、あんな事をしたんすかね」
「知らねーし、俺が聞きたい」
「……どうだったんすか?監禁生活は」
「………二度とごめんだ。窮屈だし、何よりあんなシャドウ、見た事がなかった。怖かった……」
「………」
「(俺の事が好きだと言っていたけど、あれは、行き過ぎだって)」














END
(あとがき)

奈穂美様、リクエストありがとうございました。監禁ネタは怪盗組だと少々難しいので、シャドウをヤンデレ化してしまいました……。
お気に召されなかったら、すみません……。

ここまで読んで下さって、ありがとうございました。

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