怪盗ジョーカー

□淡い雫は紅い色
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ジョーカーに、まんまと宝を盗まれた。まあ、僕が負けたんだけどね。それは仕方の無い事さ。別にそれは、大した事じゃない。


僕は初めて、恋に落ちたのかもしれない。


彼ジョーカーに出会って、僕は何かが心の中で揺れた。初めは何も思わなかったが、彼を追いかけているうちに、僕の中で何かが芽生えた。


それが恋だとは、思いもよらなかった。




淡い月が、僕を照らす。一人港に来ていた。そして、そこから水面に映る月を、眺めていた。歪む水面は、まるで僕の心のようだ。
正直、ジョーカーに恋する自分に、反対する自分が居た。
自問自答してみるが、どうも答えが出ない。

真剣に考えて、気が付けば、もう真夜中。ふっと笑う僕。
一体何に悩んでいるのだろうか。別に、悩む事は無いじゃないか。ただストレートに、僕の気持ちを、彼にぶつけてしまえばいいのじゃ無いか。だが、またいつ何処で会えるとは分からない。ならば、ヴェネツィアから抜け出せって?それはお断りだね。僕はここが好きなんだ。………僕が育った国だしね。

さて。これ以上色々な事に浸っていても仕方がない。


だがいくらその、ジョーカーに対する気持ちを忘れようとするけれど、忘れられなくて。
今直ぐにでも、彼に触れたい。彼の声を聴きたい。
いつの間にか、僕の頭の中には、ジョーカーの事でいっぱいだった。
そんな自分に笑う。


僕は、本気で他人(ひと)を好きになった事が無い。好きになれないんだ。信用できなくて………。けどジョーカーなら、信用できる。そんな気がしていた。
彼のあの、海のように輝く美しい瞳は、嘘を決して付かない。そう、感じ取らせていた。

あぁ、月が雲に隠れて、更に暗くなる。
その雲は、僕の心と同じであった。




これから、どうしようか。彼を追いかけたいが、何処に居るかさえ分からない。かと言って、彼が次に狙う宝が何かさえ分からない。だが、必ずまた会うと、僕は信じてる。寧ろ、そうで無くては困るんでね。今度は、もっと素敵な仮面と薔薇を、君に捧げるよ。

さて、ジョーカー。今から君に会いに行くよ!地の果てまで、君を追いかけるさ………!









END


(あとがき)
R様、リクエストに応えるのが遅くなってしまい、申し訳ございません……!

二巻の直後と言うリクエストだったので、ナイトメアがジョーカーに恋をしたと言う事に気付く話にさせていただきました!

ここまで読んで下さって、ありがとうございました!

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