怪盗ジョーカー

□眠る十字架は死への誘い
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誰かがそう言った。

『この十字架は、あってはならない。』

誰が言ったのかは分からない。いや、人が言ったのかさえ分からない。
それは、世界を揺るがす、この世にはあってはならないもの。そう言われ続けた。
悪魔が一人、それを人間に作らせたと言う説もある。真意は定かではない。
その十字架を手に入れた者は、この世界の救世主になれる、と言われている。だが本当の意味は。





そして、時は無情に経ち、十字架は人間が発掘してしまった。その輝きは、とても今の技術で作れるような物でも無ければ、空から降って来た物でもない。では何のか。古代人が作ったと言われていたり、悪魔が作ったものではないか、と。様々な説が取り上げられてきた。そして、それを発掘されたスペインの美術館で特別展示される。
それに目を付けたのは、ジョーカーだった。
「よし!ハチ、進路をスペインへ!!」
「はいっす!」
早速盗み出す計画を練るジョーカー。カナロアは呑気に紅茶を飲んでいた。
「………おいカナロア。暇なら、予告上でも制作してくれよ。」
「俺がそんなもん作れる訳がねーだろ?」
「……。」
呆れるジョーカー。ハチは自動運転に切り替え、予告上を作ってくれていた。




その頃、クイーンも、似たような状況であった。
「ジョーカー君!スペインに向かうとしよう!」
「………久々の仕事ですか?」
「ああそうさ!何たって、魔の十字架だよ!?夢が広がるじゃないか!」
やたらと嬉しそうなクイーン。それに呆れるジョーカーとRD。
「なあRD、クイーンって、いつからあんなに夢を見ていたっけ?」
【………さあ。あれですね、かぐや姫になってから、ああなりましたね。】
RDの深いため息も聞こえて来る。
「取り敢えずクイーン、予告上を作りますよ?」
「ああ宜しく頼む。………さて。RD、また向こうのPCに侵入して、私が招待されるようにしておいてくれ。あ、名前とかは任せる。」
【………はい。】
それぞれ準備をしている中、クイーンは、図書室へと籠って行った。
「クイーン?」
「ああ、気にしないでくれ。」


ジョーカーもクイーンもそれぞれ準備をしている中、徐々に二人を出会わせて行く事に。

ジョーカーとクイーン、同時に予告上がスペインの美術館に届けられていた。
それを全く知らない両者。





ジョーカーは、カナロアに変装をさせていた。
「……俺も一緒に行くのか?」
「当ったり前だろ?ハチはそこの警備員に変装して、俺達が動きやすく行動できるように、してもらうんだ。だから、ハチの代わりにお前が俺のパートナーになるんだ。」
「だる………。」
「文句言うな!……………ほら、ネクタイ出来たぜ。」
ネクタイをジョーカーに結ばせていたカナロア。今回の変装は、店内警備員。カナロアはジョーカーに、適当に巡回とかしてれば良いんだよ。と言われた。
「お前は?」
「ん、俺?………招待された紳士、って設定さ。ほら偽造の招待状。すっげー構成に作ってるから、まあバレる事はねーさ。」
ジョーカーもスーツに身を包んでいた。
「さて、作戦は、さっき言った通りだ。じゃ、行くか!」
ジョーカーはスペインの美術館に、クイーンより一足先に着いていた。







クイーンは、今回は普通に変装していた。
「………珍しいですね。女装はしないんですか?」
「飽きた。と言うより、コルセットは命に関わるからね。」
一体何を言って居るんだろうか。ここの男は。RDもジョーカーも、そう思っていた。
「さて、着替えたし。RD、もう着くかい?」
【はい。では、幸運を。】
飛行船はスペインに到着し、二人を下ろして、また上空へと上がって行った。
クイーンは偽造して作った招待状を見せ、美術館へと入って行った。
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