怪盗ジョーカー

□霧の暗闇
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僕は、ジョーカーによって倒された。
けどね、ヴァンパイアはそんな単純な生き物じゃないよ?
そう、蘇ることが出来る。
勿論、蘇るのには、生き血と生肉が必要。だから僕は迷える淑女の心に入り込み、僕と契約させた。
彼女は死に、僕は蘇った。
ジョーカー、君に会いに行くよ。 


此処は深い森の中
霧が濃く、あまり前が見えない。
けど、ヴァンパイアの僕にははっきり見えるさ。
「‥……………………太陽がない、ね」
実はね。僕、人間の体を蘇るときに使ったろ?そのお陰で、太陽もニンニクや銀も怖くないんだ。十字架は無理だね。
「太陽が気持ちいいな〜」
木漏れ日から太陽の日が僕を照らす。何て清々しいんだろう。
人間共、見ていろ。その内この世界を漆黒の闇に作り替えてやる。
「‥…………ん?ジョーカーの血の匂い‥…………」
運命だね、これは。


「あーっ、いってーな〜。ったくオランダの警察、容赦ねーな」
ジョーカーは僕から50m離れた先にいた。どうやら、拳銃か何かで右足を撃たれたようだ。
美味しそうな血が、出ているよ。
「はぁ〜、今日に限ってハチには手伝わなくて良いって言っちまったしな……………」
なら、今日は一人なんだね。
狙いやすいよ。
太陽が出て来た、とは言っても、夕方の話。
陽は沈み、月が顔を出した。
薄暗いこの森に、僕とジョーカーだけ。
何だかわくわくしちゃうな〜。
「さて、と」
僕はジョーカーの元へと、ゆっくり歩み出す。
多分彼は僕のことを覚えてないだろうから、如何にも村人っぽく、振る舞うつもりだ。
「………人?」
「!だっ誰だ!」
「すみません!僕は近くに住む者ですが………」
「近く……?村でもあるのか?」
「あ、村は一キロほど離れた場所にあります。僕の家は、この近くですよ」
「(なーんか見たことあるし、怪しい‥…………。まっ、いっか)怪我してるんだ。良ければ手当てとかさせてくれねーか?」
「怪我をしてるのですか?!」
「あ、まあ……」
「気をつけてください!ここら一帯にはコウモリや蚊が沢山 居ますから」
「あはは……」
そう、ヴァンパイア、も。ね
僕は近くにある誰も使われてない小屋を、幻想を使って如何にも使って住んでます、と言う感じにやっておいた。
「狭いですが、どうぞ」
「ああ、サンキュー」
ゆっくりと、一つしかない扉を閉める。
ジョーカーに、傷付の血を見せて貰う。
「うわっ、………。銃か何かで撃たれました?」
「あっ、ああ‥……」
「………幸い、傷は深くありませんね」
「ふぅ………」
止血をして、包帯を巻いた。
「ありがとう」
「いえいえ」
さて、と。
「なあちょっとだけ居ても良いか?迎えを呼ぶからさ」
「構いませんよ」
携帯を出し、連絡している。多分あの小さい子に連絡しているよね。
「……。後10分ぐらいで来てくれるから、それまでは」
「はい。あ、なら、何か飲みますか?」
「水でいいや」
「分かりました」
うーん、ちゃんとした水をあげるか。あの小さい子が来たら、いろいろ厄介だからね。
「あ、そう言えば、名乗ってなかったね。僕はイサク。よろしく」
「よろしく!俺はジャック」
「よろしく。ジャック」
握手を交わす。
「?(体温が、感じない………)」
「あっ、あぁ、ごめんね。僕低体温症でね」
「あー、なるほどな(だよな……)」
そう、ヴァンパイアは体温がない。生きてないからね。
それにしても、
「静かだな……」
「ええ。ここら一帯、動物と虫しか居ませんから^^」
「なあ、寂しくねーの?」
「一人には慣れました。それに、町は嫌いなんです」
「どうして?」
「排気ガスや汚染水ばかり。体が病弱な僕では、過ごせません」
「あー、なるほど」
そう。ヴァンパイアは新鮮な空気の場所を好むからね。
と、彼の携帯電話が鳴った。
「お、着いたか!今行く」
「案外早かったですね」
「ああ、だな。ありがとな」
「いえいえ。気をつけて」
ジョーカーを見送る僕。
「僕から一つ、忠告しておきましょう」
「?」
「美味しそうな血の匂いを辺りに蔓延させながら、こう言った場所には来ない方が良いですよ。僕のような………、ヴァンパイアが狙いますから」
「えっ……!?」
飛行船から伸びる梯子に捕まりながら、僕を見つめるジョーカー。
「久々に会えて良かったよ。ジョーカー」
「お前、やっぱり……!あの、神聖なる十字架(ホーリー・クロス)の時の、シモン……!」
「ふふ……。またね」
きっと次会うときは、容赦しないからね。
それまで、殺されないでくれよ?ジョーカー。

END



(あとがき)
後に描かれているシモンとは、また違う物語です。後に描かれているシモンが、管理人がイメージしているシモンですよ。

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