世界一初恋〜小野寺律の場合〜

□2月14日@
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2月14日。この世の大体の人がソワソワする日。


──バレンタインデー。


女性から男性に気持ちながらのチョコレートを渡したり、中には本気の想いを告げたりする日。


そんなバレンタインデーを3日後に控えたその日、相も変わらずここだけは忙殺されている。


丸川書店エメラルド編集部、通称エメ編。少女漫画誌ということもあり、バレンタイン企画は盛り上がるため、いつも以上の多忙を極めていた。


「羽鳥さん、高野さん!原稿はまだですか!?」

「吉川千春が逃げた……行ってくる」


そんなエメ編に響く、新入社員の小野寺の声。進行係を任されている彼は、未だに原稿のこない二人に焦った声で尋ねる。


少し怒りを含ませた声音で編集部内を出ていくのは、この編集部の副編集長である羽鳥だ。
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