世界一初恋〜小野寺律の場合〜
□2月14日A
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「…誰だよ……」
苛ついて小言を零しながら、高野はベッドから身体を起こしてインターフォンに近付く。
「……はい」
インターフォンを通話状態にして出る。カメラがついていないため、玄関先にいる人が誰なのかは分からない。
相手に早くこの場を去らせようと、高野は倦怠感を表に出した。だが玄関先から聞こえてきた声に、驚きで固まる。
『あ、の…小野寺……です』
どうして小野寺が今、ここに来るのか。家は隣だから仕事で何かあった時は、高野自身が呼び出すこともある。
だが今日はもう、仕事に関することで何かあるとは思えない。つまり、私情で来たということだろうか。