世界一初恋〜小野寺律の場合〜
□2月14日A
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せっかくのバレンタインデー。校了明けで疲れている高野は自分のベッド上で溜息を漏らした。
だが疲れたのが原因ではない。小野寺からチョコレートが貰えないまま、分かれてしまったからだ。
分かっていた回答だったが、やはり未だに認めたがらない小野寺が分からない。
あんなに表情に出ているというのに、好きと言わないどころか高野に向けられる視線は刺々しい。
「どうしてあいつは、あんなにツンツンしてんだ…」
高校時代は見ているこっちが恥ずかしくなるほど、素直で真っ直ぐな分かり易い奴だったのだが。
再会した現在、直球なのは変わらずだが、どこかひねくれた性格になっていた。
それ自体に文句はないが、もう少し向き合って欲しいと思うことも少なくない。