だいすきをキミに text
□嫉妬ばかりです
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いま、私は何故かわからないが紅炎様、紅明様、紅覇様に囲まれています。
えっ、私なにかしましまたか?
問題を起こしたとしたら、この前の紅明様との喧嘩で軍議の時間を遅らせてしまったくらいで他には身に覚えもないのですけれど…。
「おい、清蓮」
「は、はい」
紅炎様にいきないり呼ばれるとびっくりしてしまう。
隣の紅明様に手を握って頂いているから、震えていないけれど、ひとりだったら完全に飛離れるくらいに恐ろしい。
「紅明をバルバットに連れて行こうと思うが、お前はどうする」
聞かれたことが、予想外だったため目をぱちくりしていると、隣が震えているのがわかった。
この毛玉、絶対にいま面白いとか思っているよ。
毛玉のことで、聞かれているのに何で笑っていられるんだ?
と、思いながら、そっと紅明様を覗き見ると素敵な笑顔が用意されていてびっくりした。
いつから、そんなことができるようになったのかが知りたい。
絶対この毛玉、外で女の人に覗かれたときとか、この笑顔で返しているのだと思うと不愉快になる。
というか、白瑛様がいるときは絶対に笑顔だから白瑛様のせいで女の人の前では笑顔になれるんだ。
「また、嫉妬ですか?」
「…いえ、違います」
ぷいっと、紅明様から目を逸らして紅炎様をみていると、またこちらも笑いを堪えているようだ。
いっそのこと、笑ってくれた方がいいのになって、思うけれど、紅炎様が笑っているところが想像もつかない。
「あの私、紅明様には付いて行きません」
予想もしていなかったらしく、隣で紅明様が「何故です」と聞いてくる。
えっ、そんなにご自分に自信でもあったのですか?って聞きたいくらいだ。
でも、本当は私だって行きたいけれど、紅明様があの笑顔で他の女性と話していると思うと不愉快になってしまう。
それなら、いっそ煌帝国に残って何も知らない方がましだ。
「…紅明たっての願いだとしてもか?」
「えっ」
そんなことしらないもの。
紅明様のお願いでも、私の心は…揺らがないはず!!
だって、紅明様が女を買うかも知れないような場所に何で私まで行かなきゃいけなの。
「…嫌です」
「どうしてですか」
とうとう、隣にいる紅明様が私だけに聞こえる声じゃなくて、周りにまで聞こえるくらいの声を上げた。
その声は怒るような、縋るような声でもない。ただ、驚いて取り乱しているような声だった。
ここで、本当のことを言うのは、と躊躇われる。
だって、最初に紅明様に言われてしまったから嫌なんです。
でも、すごい注目されているか言わなきゃいけないような感じがする。
「だって、紅明様が私以外を見るなんて耐えられないんです」
本音を言って逃げようとしたら、しっかりと握られていた手のせいで逃げるのに失敗してしまった。
いつもなら、こんなに力なんて入らないくせに今日に限って何で力があるのですか。
「本当に清蓮、あなたは可愛い人ですね」
そんなこと言われたら、余計に逃げられなくなってしまう。
その場に残れば、「決まりだな」と紅炎様の声が聞こえたため、私のバルバット行きは決定してしまったようだ。
本当に、全てはこの手を離さない毛玉のせいだ。
20141223