◆ 斎藤×千鶴(転生パロ) +SSHL

□北へ走る 9
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「井上さん。平助を部屋に泊めても問題無いだろうか?」
「構わないが…何をするんだい?」

「布石にする」
「それから、万が一雪村というのが千鶴を迎えに来ると言い出したら、全記載の戸籍謄本と引き換えだと言ってくれないか」


井上は了承しつつも怪訝な顔を向けたが、一は席を立ってしまった。

それを合図にお開きとなった。



一は部屋に戻ると、母親に電話をかけた。


◆◆◆◆◆◆



翌朝。
井上が一の様子を伺っていると、
一は平助が来るのを待って何やら話しかけていた。
平助が喜んでいるのが見えたため、話は成立したらしい、と井上は思った。

夜になると酒に釣られた平助がやって来た。

井上たちがツマミを用意してくれたため、最初はキッチンの隣の部屋のテーブルで飲んでいたが、深夜近くになったころ、井上たちに迷惑になる、と理由をつけて一は平助を自分の部屋に連れていった。

機嫌良く酔った平助は、一の部屋に一泊し、翌朝ちゃっかりシャワーも浴びてバイトに向かった。

伊東は、朝、一が平助を見送っているのを不快げに睨んでいた。

その日の夜も平助は一の元を訪れ、夕食も井上のところで食べ、泊まっていった。
翌日は、平助のバイト先が手伝って欲しいという話になり、一は外出。
そして平助と一緒に宿へ戻り、平助もまた泊まっていった。

この数日平助とベッタリ一緒の一にイラついたのか、伊東の、一へのアプローチは他人の目が無いところでは露骨になってきていた。
一は、鳥肌をたてながらも無下にはせず、のらりくらりと伊東をかわしている。

そろそろ試してみるか?

一は伊東の様子を見て、今夜の平助の来訪を断った。




平助の来ない事を知った井上は心配だった。

今夜は伊東が随分ご機嫌で、一を追いかけまわしている。
一もそこそこ相手をしているのを見て、何を考えているのか気になった。

夕食後に
「井上さん、風呂をいただいても良いか?」と
伊東の前でそう言った一に井上は困った顔をしたが、断る理由もない。

「じゃあ私は部屋にもどりますね」
伊東は、一の後ろ姿をにんまりと見送ると、わざとらしくそう言って部屋を出て行った。

千鶴は気遣わしげに一の背中を見送り、井上は、ふう、と大きく息を吐いた。
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