◆ 斎藤×千鶴(転生パロ) +SSHL

□北へ走る 6
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しばらく考えて、千鶴はやっと、フルネームが斎藤はじめだと言っているのだと理解出来た。
名前はわかったものの、千鶴は一の横顔を凝視して固まった。

「………………………」

これは、自分も名前で呼べと言う事なのだろうか?
しかし千鶴は、年の近い男を名前呼びする習慣が無い。
この目の前の人に対して、名前で呼びかける事は到底出来そうに無かった。

それとも単に自己紹介なのだろうか。
斎藤は、自分の事をあっさり「千鶴」と呼び捨てで呼んだから、単にそういうタイプなのだろうか。



「さいとう、はじめ」



反応しない千鶴に、再度一が自分の名前を繰り返す。
「は! はい! 覚えました! 斎藤はじめさんですね!」





どうしようどうしようどうしよう!
斎藤さんの言ってる事の意図がわかんない!!
次に呼ぶとき、何て呼べば良いんだろう?!
さいとうさん?! はじめさん?! 平助君は平助君って呼んじゃってるから、はじめくん?!

いや、それは無理!はじめくんって感じじゃ無い!

 
せめてはじめさん?!
でもお客さんだし年上だし友達じゃないし、普通は斎藤さん、だよね?
でも今の流れだと、本人が気にしなければ…って、気にしないからはじめくんと呼んで欲しいという事なの?!

はじめくん、って、山口さんちのツトム君、って歌の子みたい…。

♪♪♪〜斎藤さんちのはじめくん、近頃すこーし変よ〜
     どーしたのーかーなー……〜♪♪♪♪

いや歌ってる場合じゃないし、私!
さいとうさん? はじめさん? はじめくん? いっそ…はじめ、とか?

いやそれは駄目でしょう! 彼女でもあるまいしぃぃぃぃっ!
………でも……こんなかっこよくて、その上剣道で優勝しちゃってる人が彼氏で、はじめ!とか呼んじゃって、当たり前のように振り向いたりしてくれたらちょっと凄いかもしれない…。

凄いって、何が凄いかよくわかんないけど…。

でも今外から見たら、ドライブデートに見えたりするのかな?!
キャー、私何考えてるの!
私なんかが釣り合うはずないのに!



千鶴の頭の中は盛大なパニックを起こしていたが、
当の一は、千鶴にフルネームを認識してもらっただけで満足していた。










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【天の声】
早く行けよ、恐山に。 
でも少し親しくなっておいてもらわんと困るんだよ。
でもこれ親しくなってねーじゃん! 

…おいらには、らぶすとーりーは書けないらしいな…
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