◆ 続・妖怪ハンター“S”
□1.鬼の姫とジョンの事【1】
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【鬼姫 1】
警察官となった斎藤は、“特殊2課”に配属となった。
そこは化け物調伏や妖怪退治といった、得体の知れない事件を扱う部所。
斎藤は、そういったものは、イヤ。
怖くはないが、とことんイヤなのである。
関わりたくない。
なのに、配属先はそんな部署。
しかも、同じ課の仲間はとびきりの有象無象ばかりだった。
※どんな有象無象かは、「妖怪ハンター“S”」の、
「武士の幽霊4の最終ページ」をご覧下さい
m(_ _)m
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配属初日の今日。
斎藤は、昼間からそんな有象無象に周りを囲まれ、自分の歓迎会に引っ立てられた。
有象無象は皆、よく飲んだ。
斎藤の知らない、得体の知れない酒もあった。
それを昼間っからガブガブ飲む仲間たちに、
斎藤は呆れるやら頼もしいやら(酒量に関してのみ)だった。
随分長々と飲んでいた。
奢りだと言うので、斎藤も淡々と飲んだ。
だが初出勤の緊張感ともともとの体質から、大して酔っていない。
しかし周りは調子良く酔っ払っていた。
あれだけの早さで杯を重ねれば、当然の帰結だと思った。
仕事についての話が聞ければ、と、耳を傾けていた斎藤だったが、
他愛ない話ばかり。
これはこれで口が固いと言えるのかもしれない。
「ん。じゃ、そろそろお開きにしようか」
課長の後藤の一声で、夕方になって、やっと歓迎会は終わった。
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帰り際。
「じゃ、改めて、明日から宜しくね」
ジョンに右手を差し出された。
昼間、しぇいくはんど、なるものを教えて貰ったので、
今回は素直に差し出されたその手を取った。
その手を取った瞬間、斎藤の背中を嫌な感じが駆け抜けた。
ぞわり。
それは羅刹を前にした時と全く同じだった。
斎藤は反射的に手を引こうとした。だが、握られた手にグッと力が込められ、
ジョンの手から逃げられなかった。
しまった。
そう思った時、斎藤はジョンの灰色の目の中心が赤くなったのを見た。
それは小さな赤だったが、羅刹のものと同じ赤。
斎藤は躊躇い無く、右手を引きながら左手で刀を抜き放った。