◆ くだらない話(all)

□トラ トラ トラ トラ トラ
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斬った張ったの緊張感も無く、気の知れた仲間内で飲めば酒の回りも早い。
この日も一同ヘベレケである。

「そう言えば土方さん」
「おー?」

「千鶴が以前言っていたのだが、、千鶴は土方さんの着替えを覗いて裸を見たことがあるとか。
それを聞いて思ったのだが、確かに副長は良い体をしていると俺も常々…」
斎藤が切り出した。

「裸? 裸っつったら俺だろう!」
原田が脱ぎだす。

それを斎藤は冷ややかに見る。
「お前が脱ぐのは見飽きている。 俺が言っているのはこの体だ」

斎藤は土方の着物を脱がせ始めた。
「おいコラなにしやがる、てめ、さいとー!」
「脱がしてます。 この体の話で」

土方はもともと酒に弱い上にすでにヘベレケ。斎藤は易々と土方の着物をはぎ取った。

「何しやがる! おい総司! こいつを何とかしろぃ!」
「えー、そんなん男同士だしいいじゃんー。 脱げ脱げー。
あ、土方さんは昔からフンドシ白だよねー」

「白っすか! オレは赤だぜ!」
原田が仁王立ちでフンドシを披露する。

「いや黄色だろう! 特注だぜ! 黄色は金運を呼ぶんだぜ!」
平助も脱ぎだした。
「何言ってんのみんあ! 男はね、黒だよ黒! この色が千鶴を興奮させんの!」
呂律の回らない総司も自ら脱ぐ。

「ばかやろうぅ! 男は中身だ!」
そう言うと土方は総司のフンドシをはぎ取った。

「どれ、土方さんの中身とは…」
斎藤が土方のフンドシをはぎ取る。
「ちょっとはじめ君、なんで君一人着てるのさ。 脱げ!」

今度は真っ裸の総司が斎藤の着物を脱がせようとした。

「待て総司! せっかく着ているんだ! フンドシだけ剥げ! 男は中身だ!その方が通ってもんだ!」
赤フンドシ仁王立ちの原田が指示を出す。

総司は斎藤を押し倒し、平助が斎藤の足を捕らえて斎藤のフンドシをはぎ取った。

「よーっし、御開帳だ!」
「げっ、左之さんよりでけぇ!」
「ふざけんな! 男は膨張率だ!」

「左之さんこそ何言ってんだよ! 男は回数!」
「うるせぇ平助! この千畳敷きが!」

「あ、僕回った。眠い」
総司がその場でごろりと横になった瞬間、眠りに落ちた。

「こら総司てめぇ何寝てやがる! 起きろ! 起きねぇとケツに筆突っ込むぞ! おい平助そこの筆よこせ!」

土方が渡された筆の持ち手の方を総司に突っ込んだ。 
総司は起きない。

「くそ、もう一本!」
一本追加―! 喜んでー!

「男はな、女喜ばせてナンボなんだよ! 」
「そんな見えないモン自慢になるか!」
「んだとコラ、見せてやらぁ! おいこら斎藤動くな! てめーでけぇからわかりやすいんだ実験台になりやがれ!」

「いや俺はされるよりする方が。 せっかく全裸なんで土方さんを。 平助、左之、足を押さえろ」

「ざけんな! 俺の技見せるのに俺がやられてどうする!」
土方は左之を蹴飛ばすと平助に躍り掛かった。

「冗談じゃねぇ! 前に隊で衆道流行った時、オレヤバくて、完璧な心の傷になってんだから!」
「テクだったら俺のを見せてやるよ」



大酒飲んで大騒ぎすれば酒も回る。
明け方前には全員ぶっ倒れていた。

翌朝、千鶴が見たのは。着物とフンドシと空の銚子と湯呑をあちこちに飛び散らせた素っ裸の五人。
尻に筆が二本突っ込まれた沖田、
土方の股間を枕に寝こける斎藤、
原田の腕の中で安らかに眠る藤堂、という地獄絵図。

千鶴は一度襖を静かに閉めた。
そして、今度は勢いよく、すぱあああんと派手な音たてて開ける。

「う…ケツ痛い…なにこれ、筆? 誰が突っ込んだのさー…頭も痛い…」

「…眠い」
斎藤は土方の股間に顔を埋め直す。

土方はまだ気づきもせずにガーガー寝ている。

「もうちょっと寝させて…」
藤堂は原田に足を絡めて抱きつき直し、まだ寝ようとする。

「うん、もうちょっと…」
原田も平助を抱き直すと平助の髪に顔を埋める。


夫を回収に来た千鶴達は、静かに冷ややかに、そして長々と男たちを見下ろしていた。
「ホトガラ…ホトガラに残してやりたいわ…!」



この時代にカメラが無くて、非常に残念だった朝であった。
写真に残せたら、高く売れたかもね。

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