◆ くだらない話(all)
□男の夜話
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羅刹になっちゃった男の子たちが集まって酒飲んでアホな話になったみたいでした。
「まだ羅刹体質だった頃さー。 月に数日、千鶴に困らなかったー?」
平助が沢庵をバリバリ音をたてて摘まみながら言いだした。
土方、沖田、斎藤、藤堂らの男だけが集まっての酒の席。
すでに深夜を回り、四人ともかなり酒が回っていた。
「あー、あったあった。 困っちゃうよね。 あんな美味しそうな匂いさせてさ。
僕、何度袴引きちぎって飲んでやろうと思った事か。 あははー」
総司が軽く言う。
「だよなー。 二人だけの時なんて、誰も見て無いじゃん?
誰かを傷つける訳でもないし、千鶴も助かるんじゃないかって思ったもんだよ」
「あー、ありゃ拷問だったよなぁ。 なんだか甘ったるい匂いでなぁ。 ちょうどこんな酒みたいな甘ったるさでよー。 ただでさえ男ばーっかの生活ん中にあいつが居るだけで甘ったるいくせに、更に甘ったるい匂いになるからなぁ、あいつ」
同じ言葉を繰り返す辺り、土方も相当酔っていた。
「女の子って、なんで臭くならないんだろうねぇ。 ヒック」
「そりゃおめぇ、甘ったるいからだろ」
「土方さん、よっぽど甘い匂いにやられてたんだねぇ」
平助がケタケタ笑う。
「ったりめーだ。 お前らだってそうだろうが。おい斎藤、ムッツリ黙ってねぇで白状しやがれ」
「……甘い匂いについては同意します」
「だよなぁ。 特にお前みたいなムッツリスケベは蓋開けてみたらすげーことやってたりすんだよな」
土方がゲラゲラ笑いながら斎藤の肩をバシバシ殴る。
「あー、はじめ君が千鶴を捕まえてたってのは、ちょとびっくりだったよねー。
すっげー無口なのに、どうやって口説いたんだろうっておもたよー」
怪しい呂律ながら更に杯を開けながら平助が言った。
「かー! 俺もやっときゃ良かった! はじめ君、どんな感じなの? おいしい?」
斎藤はクソ真面目な顔で平助に問うた。
「機会をみすみす逃すなど、武士の風上にも置けん話だ。
あんたら、なぜやらなかった。 甘露の如く、だぞ」
斎藤の目がキラリと光る。
「ま、マジ?」
「え、一君、ホントにやったの?」
「そうなのか、斎藤っ」
「日々共に暮らしていれば、そういう機会などあんたらも幾らでもあっただろうに」
「いくらでも…は、無かったような…」
平助が言うと、斎藤の膳の上から箸が平助に向かって飛んだ。
「それはお前の精進が足りん」
「だからって箸飛ばすなよはじめ君。 っつーか、そういう時って、千鶴、嫌がるじゃん?」
「そうなのか?」
「え、はじめ君とこは、嫌がらなかったの?」
「だよな、総司。 嫌がるよな?」
「未熟者どもめ。 そこを気分よく受け入れさせてこその甲斐性というものだろう」
「うわ、一君に女の扱いを教えられる日が来るとは…」
平助がじたばたと暴れた。
「でもさ、うちの千鶴は布団が汚れちゃうって、普通のすらやらせてくれなかったぜ」
「…それでは、月に六日も七日もお預けになってしまうではないか」
「うちは四日くらいで相手してくれるかなー。 あとは他の所を使ってしてもらったり。
千鶴は経験無いから、教えると、それが普通だと思って何でもしてくれるよね」
「うわ、総司、お前ヘンタイ!」
「俺は中が好きなのだ」
「言うねー、はじめ君。 土方さんとこは?」
「お前らみたいなサルの時期は終わってんだよ。 多少の我慢はきく。…けど、うちも四日くらいで押し切っちまうな」
「でもさ、どこですんのさ?」
「外」
「うわはじめ君…外道…」
「やろうと思えばどこでも出来る。 一番は風呂の時だな。ただあれは油断すると風邪をひくから、暖かい時期がおすすめだ。
夏間近に、同じ湯船に浸かって共に月を見るのは至福だ」
「どこでも…って、はじめ君…実はどんだけ性欲強いんだよ……」
「千鶴にだけだから、問題ない」
「あ、僕も今度お風呂一緒に入ってみよーっと」
「平助。 俺らの中ではお前が一番若い。 もっとぐいぐいいかないとイカン」
「俺は千鶴の満足が第一なんだよ!」
「甘露の味を知っているのは俺だけだ」
「僕の千鶴は、僕を飽きさせないよ」
「ざっけんなガキどもが。 女は気をやらせてナンボだろう。 俺ほどの技があってこそだな…」
「初めての日のあの赤いシミがな…」
くだらなくも、平和な、いわゆる千鶴のお馬な時期についての、よるのおはなし…。
END