◆ 突発企画 2014 (上半期)

□(現代)ネズミーランドで春休み
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【ネズミーな春休み 1】




※ 斎藤さんと千鶴ちゃんの出会いは、『豪雪バレンタイン』をご覧下さい
m(__)m



雪村千鶴、高校2年。
斎藤一、大学1年。


バレンタインデーに出会いチョコレートケーキをご馳走になり、
ホワイトデーにはお礼デートをこなし、
顔見知りから知り合い程度にはなった二人だったが。
進展も次の約束も、特に無い。


「次の約束とりつけてこないって、あり得ねぇだろ……」
…………現に起きている。

「だよな。やる気が見えねぇよ、はじめ君にはさー」
…………ヤル気が見えたらまずいだろう。

「基本を知らねぇんだ、そう言ってやるな」
…………すみません。基本が有る事すら存じませんでした。

「もうすぐ春休みだし、泊まりにしようか?僕鴨川シーワールド行きたい。
ネズミーランドも行ったこと無いなぁ。
いつ空いているか聞いてみるねー」
…………鴨川シーワールドより八景島シーパラダイスの方が近いのではないだろうか。
ネズミーランド?……ああ、あれか。
総司。勝手に行け。

「………………あ、千鶴ちゃん?
そう、僕。
あのさー鴨川シーワールドかネズミーランドに行きたいんだけど、行かない?」
……………………待て!

「総司! 返せ俺のスマホ……っ!」
いつの間に盗ったのか、斎藤のスマホで沖田が電話をかけ始めた。
取り返そうとした斎藤は、例によって原田、平助に抑え込まれた。

「返せ総司!」
「うん、そう、こっちは4、5人。出来れば月曜日に、空いている日は無い?
泊まりは?ダメ?おっけー。
うん、友達連れてきてー。
じゃあ返事は、はじめ君に連絡しといて。
僕、電話出ないヒトだから」
「総司ー!」

斎藤の声を華麗に無視した沖田は、スマホの画面をタップして顔を上げた。
「親と友達に聞いてみるって」
「うおお! 友達も! 女の子と遊びに行ける!総司、すげぇ!」
握り拳を突き上げて、藤堂は喜んだ。
…………平助。返事はまだ来ていない。

「高校生か……。先輩ちゃんの年令次第だな」
と、原田が肩を竦めた。
………………。

「ま、頑張れ」
「何言ってんだ土方さん。
斎藤の尻叩けるのも総司を止められるのもあんただけだろ。
斎藤の為に一肌脱いでやれって」
「……斎藤の為、か。そうだな…これを逃したら一生独身になりそうだしな」
…………酷い言い様です、土方さん。俺よりご自分の心配をなさって下さい。既に適齢期から片足出かかってますから。



その日の夜、千鶴から斎藤に連絡が入った。


『はい、斎藤さんや友達が一緒なら、と父が。
同じ年の友達と、先輩が一緒に。
はい。
宜しくお願いします』

斎藤は、浮わついた気持ちが声に出ないように気をつけた。
「…………晴れると良いな」
『そうですね! 楽しみです!』

斎藤は、スマホを握ったまま、密かに「珍しく良い仕事だった、総司」と思っていた。



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