◆ 続・妖怪ハンター“S”

□9.千客万来の事【4】
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【盆14】




ヨレヨレの元部下、園田一の面倒を土方に押し付けた斎藤は
千鶴と勇三郎の寝る部屋に戻った。
そのままするりと千鶴の横に潜り込む。
「え……はじめさん?」
もう眠っていたらしく、低い乾いた声を千鶴は漏らす。
斎藤の手がするすると千鶴の寝間着の紐を解いていく。
「えっ?!はじめさん?!」
千鶴は斎藤の手を慌てて押さえるが、動きは止まらない。
「飯の前に言った。土方さんでは勃たんが、
千鶴は今すぐにでも欲しい」
「なっ!ひ、土方さんも原田さんもいらっしゃるんですよ?!」
「ああ。だから声は出さぬ方が良い」
「な……っ、何を言って……!
明日もお仕事……っ」
「だから千鶴を食いたい」

正直なところ、疲れている。
だからこそ強烈に欲しい、自制がきかない。
疲れてはいるが、今夜千鶴を抱いた程度で
倒れる程度の体力では無い自信はある。
土方と原田は今、園田一に意識が向いている筈である。
園田一を見た瞬間に、好機だと思った。
好機を逃す気は無い。
避けようと身をよじる千鶴の動きを口付けで封じ、
寝間着の中に手を差し入れた。
「っ!」



……はぁ……。
こんな風に強引な時のはじめさんは止まらない……。
我慢してた後のはじめさんだぁ……。
……早く、早く終わって〜〜っ!



千鶴は斎藤の手の感触にゾクリと走る感覚を覚え、
手で口を覆い、ぎゅっと目を閉じる。



千鶴も、千鶴なりに大変な夜だった。


**********



翌朝。


土方と原田は早朝に起き出し、
園田一を風呂に入れた。
仕事のある斎藤が着替えている横で、
園田一は頭を下げた。
「すみません。盆ならと思ったのですが、
逆にお忙しい時期とは露知らず」
「構わん。が、すまぬが一番多忙な時期だ。
話は夜に聞く。
ゆっくりしていってくれ」
「承知」
園田一が一礼して部屋を出て行った。
斎藤は、今のうちにと言わんばかりに千鶴に口付けを1つ落とし、
千鶴の苦笑に見送られつつ
「行ってくる」と言い置いて
せわしなく家を出て行った。
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