The Evergreen

□The Evergreen 14
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「はいよ」

ほどいたスカーフを丁寧に折りたたむと、クリスはそれをベッドの横の棚に置いた。

タオは急にクリスの手をつかみ、ベッドに座らせた。

「どうした?」

タオに手を握りしめられ、クリスはきょとんとした。

「クリス・・・僕、嘘をついてた・・・。実家にいたというのは嘘。ずっと病院にいたんだ。本当は病気なんだ。でも心配しないで・・・。大したことないから」

クリスが驚いて口を開こうとしたので、タオはそれを遮った。

「クリス、もう時間を無駄に使うのはやめなよ・・・。もったいないよ。それからタバコもやめて。体に良くないから・・・。それから・・・」

喋ってるうちに泣けてきて言葉につまったが、クリスの手を更にぎゅっと握って言葉をつないだ。

「クリス・・・、クリス、僕は君を愛してる。本当はずっと・・・もう何年も君のことが好きだった。兄弟とか、友達とかそんなんじゃなくて」

クリスは戸惑ったように首をかしげ、自分の手をタオの手から抜き取ろうとした。

「お前は酔ってるだけだ。自分が何を言ってるかわかってないんだろ?とにかく、今日はもう寝ろよ」

「違う!!!!」

そう叫ぶと、タオはクリスを無理矢理ベッドに押し倒し、彼の両手をマットレスにはりつけた。

「違う!僕にはもう時間がないから、一分一秒も無駄にしたくないだけだ!だから今ここで全て打ち明けることにした。もし言葉で言ってもわからないなら・・・」

タオは、ゆっくりとクリスに顔を近づけて、唇にキスをした。

タオの舌が口の中に入ってきたので、クリスは驚いてくぐもった声を出した。

最初は抵抗しようとしていたクリスだが、徐々におとなしくなり、最終的にタオの腰に手をまわした。

タオは、徐々に唇を下げてクリスの体にキスし始めた。

クリスのシャツのボタンを外すと、首筋と胸板を通り過ぎ、腹にキスをしながらジーンズのボタンも外そうとした。

ところがいきなりクリスが起き上がり、今度はタオがベッドに押し付けられた。

それを境に、イニシアティブは完全にクリスに移行した。

クリスがタオのジーンズを脱がし、下着に手を滑り込ませると、タオはぎゅっと目をつむり、声が漏れないよう口を手で塞いだ。

クリスに触れられ、タオの体は打ち震えた。

これまで幾度、この感覚を想像しただろう。



何もできないタオを見て、クリスはにやりと笑い、滑り込ませた手でゆっくり先端をこすりはじめた。

タオは思わず大声をあげた。

クリスが、それにかまわず手を上下に動かし始めると、タオの声は更に大きくなっていった。

タオは、ボリュームを下げるためもう片方の手も口に添えた。

「我慢しないで叫べ」

クリスはそう言って、今度は口でストロークし始めた。

数回同じ動きを繰り返されると、もう我慢できず、タオは悲鳴をあげながら射精した。

疲れきったタオはそのまま気を失った。

この屋敷に来た当初から既に疲労していたのに、ビールを飲んだことで更にだるさが増し、それに追い討ちをかけるように心臓に負担のかかる運動をしたせいだ。

明日目が覚めたときには、今夜のタオの記憶は消えているかもしれない。

覚えていたとしても、何事もなかったかのようにふるまうだろう。





9月8日

知ってる?君とこういうことをしたのは、今日で2度目だということ。それともこう言った方がいいかな?覚えてる?って。
君にとっては覚えていたくない記憶だよね。あの時僕の出血がひどくて、途中で断念したんだもん。
僕の初体験だったし、君は酔ってたから仕方ないよね。
そのことで文句を言うつもりはないけど、あの晩、僕のことを何度もチャニョルと呼んだことは根に持ってる。どう?罪悪感感じる?何か思い出した?

今日はちょっとした復讐をするつもりだったのに、恥ずかしながら僕は気を失ってしまった。
最後の思い出に、思い残すことなく楽しみたかったのに。
君は、何もなかったみたいにふるまうつもり?
でも君が僕にブロージョブしたのは事実だからね。

クリス、これで僕の気持ちわかってくれた?

君の罪悪感を助長させただけかな?

夜毎、僕が何を考えてたと思う?
ベッドの上で僕の上に覆いかぶさる君、僕の乳首を弾きながら唇をむさぼる君。それから君は僕のベルトを外し、ズボンと下着を脱がす。
君に触られ、ストロークされ、僕は快感にむせぶ。
だけど君は僕がイク寸前で動きを止め、僕を四つん這いにさせて、後ろから攻めるんだ。
まずはゆっくりと僕をほぐし、ほどよくなってきたらいっきにピストンを開始する。
僕は大声で喘ぎ、もっと、もっととねだる。

君は僕の中でイキ、僕は君の温かさを感じる。

それともバスルームでのファンタジーを話そうか?それともキッチンがいい?
僕にこんな妄想させるなんて、君はいけない人だ。
どうして君はそんなに完璧なの?
君のせいで、僕がどれだけティッシュを使ったと思う?

僕が死ぬ前に、一度くらいちゃんと抱いてよ。クリス。



PS.このページが、ビールとベーコンの染みで汚れてることを謝ります。
僕、まだ酔ってるみたい。
それとも怒ってるのかな?どっちかわかりません。

君がこれを読む頃、僕はもういないだろうから書くけど・・・バカ!

なんで気を失わせたりしたんだよ!




ああ・・・新しいペンが必要だ。

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