ジャックポットをひく方法

□ジャックポットをひく方法15
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「今まで誰かに好きって言ったことないだと!?」

「俺はロマンティックなタイプじゃない。付き合ってりゃわかるだろ?」

「まあ、そこも可愛いけど」

「ふん、ゲイが」

「俺の愛の告白を聞いただけで失神した奴が言うセリフか?」

クリスは笑った。

「愛してるよ、ルハン」

「・・・俺も・・・愛してる」

ベッドから体を起こそうとしたルハンは、間違えて(かわざとか)クリスの股間を触ってしまった。

「まだ服も脱いでないのに硬くなってる・・・」

クリスは顔を真っ赤にしてルハンの首元に顔をうずめた。

「うるさい」

クリスの生温い息が首の敏感なスポットにあたり、ルハンは息をのんだ。
ムラムラした声を出さないよう、コホンと咳払いして喉の調子を整えてから訊いた。

「本当にいいの?」

ルハンは高校生のようにドキドキしなが返事を待った。
クリスの準備が整っていない可能性もあるからだ。
何週間か前に同じような状況になったときは、クリスにNOと言われ、悶々としたまま授業に向かわねばならなかった。
でも今回のクリスは、顔を上げてルハンの唇をついばむと、「いいよ」とソフトな声で囁いた。
嬉し過ぎてルハンは泣きそうだった。
1ヶ月待ってようやく念願のエッチができるのだ。
しかもクリスと。
頭のまわりにラッパを吹いた天使が舞うほど、己の勝利に酔いしれていた。

「で、何すればいいの?」

クリスの問いにルハンは目をぱちくりさせた。
クリスがバージンだということをすっかり忘れていたのだ。

「・・・もちろんエッチを・・・」

「違くて、どう始めればいいんだよ?」

「あー・・・。えーと、まずはキス・・・かな。多分」

「多分?」

ルハンは頭をかきむしった。

「ラブラブなエッチは俺も経験したことがないんだよ!いつも、キスに没頭してる暇のない20分程度のインスタントセックスばっかだったから」

クラブのトイレ、体育館の倉庫、実験室でした時のことを思い出し、ルハンは鼻と眉間にしわを寄せた。
クリスもルハンの過去を思い出したようで、表情が段々と険しくなり始めた。
それを見たルハンは、クリスが気を変えてしまうのではないかと焦り、すぐさま彼の唇に自分のそれを押し付けた。
勢いよく突進したので、歯と歯がぶつかり少し痛かった。
しかしクリスは落ち着いた様子で口を動かし、ルハンの腰に両手を添えた。
ルハンはクリスの首に腕を絡めると、彼をゆっくりベッドに倒していった。
クリスの吐息を喉に感じたかと思うと、彼の大きな手が服の中に入ってきて、素肌を愛撫された。
その優しい手の感触も、愛に満ちたスローテンポなフレンチキスも、ルハンに未知の感覚をもたらした。
クリスは唇をゆっくりと移動させ、ルハンのあごから耳へかけてキスをし、続いて白い首筋を吸っていった。

「これいい?」

クリスの温かい息とビロードのような声が、ルハンの肌をくすぐった。
ルハンはうぶな少女のようにこくこくうなずきながら、心の中では今までの相手ともちゃんとキスをしておけばよかったと後悔していた。


段々と気分が高まってきたところで、ルハンはクリスの唇を噛み、キスで失神する前に早く気付いてくれと祈りながら、エレクションをこすり合わせて先に進もうと合図をした。
これごときで失神などしたらそれこそ恥だ。
しかしそれより恥ずかしかったのは、クリスのピュアな恍惚の顔を見ただけで心臓が止まりそうになったことだ。

ルハンはクリスにまたがったまま彼のベルトを慣れた手つきで外し、スキニージーンズを脱がしにかかった。
しかしそこにクリスの手も伸びてきて、ルハンと同時にジーンズのボタンを外そうとしたので、楽しみを阻害されたルハンは一気にキーッとなった。

「クリス!」

クリスのやおいハンドを払いのけた。

「お前はシャツでも脱いでろよ!ここは俺が先に手つけたんだ!」

余計な手がなくなったおかげでスムースにボタンを外すことができた。
クリスはルハンに言われたとおりシャツを脱いだ。
クリスの体が恥じらいと興奮でほんのりピンク色に染まっているのを見て、ルハンは胸をキュンとさせた。
そして指であごから胸まで撫で下ろし、彼の肌の感触を楽しんだ。

「お前も早く脱げよ。あと5秒」

「お前が5秒で脱がしてみろ」

ルハンに挑発されると、クリスはすぐさま起き上がってポジションを逆転させ、素早く彼のシャツをたくし上げ、頭から抜き取った。
ふたりの唇は先ほどよりも激しくぶつかり合った。
ルハンが膝を折り曲げると、それがちょうどエレクションに当たり、クリスははっと息をのんだ。
それを機に、ルハンはクリスのジーンズのウェストに指をかけ、「ジーンズ」とだけ言ってそれを脱ぐよう指示した。
クリスは言われたとおりボクサーごとジーンズを脱ぎ、それらを床に放り投げた。
ルハンはクリスの裸にうっとり見惚れ、無意識のうちに舌なめずりまでしていた。
そしてベッドから起き上がると、クリスを抱き寄せて言った。

「可愛いよ」

クリスに優しくキスをし、ゆっくりと口を動かして彼がリラックスするのを待った。
それから彼をベッドに横たえ、にっこり微笑んだ。

「準備はいい?」

クリスが小さくうなずくと、ルハンはサイドテーブルからローションとコンドームを取り出した。


×××


「やばい」

クリスは目を全開にして息を切らせていた。

「感想それだけ?」

クリスは横で寝転がっているルハンに視線を移した。

「Holy fucking shit」

ルハンはクリスのわき腹をつねって、クリスが体をよじらすのを見て笑った。

「Fuck you」

クリスはルハンにやり返す代わり、「俺達ついにやったんだ」とクスクス笑いながら言った。
ルハンはもう一度クリスをつねって腰を抱き寄せた。

「何がそんなにおかしいの?」

「だって、数ヶ月前まではお前のこと嫌いだったのに、今はこうしてさ・・・こんなことになってるだろ?笑えるよ」

「嫌いって、そこまで嫌いじゃなかっただろ?」

「いいや、マジで嫌いだった」

ルハンがべえっと舌を突き出すのを見てクリスはまた笑った。

「だって問題児だし」

「おい!」

「いかれてるし、声大きいし、お前と一緒に外いると恥ずかしい」

「ウー・イーファン、そんなにちょん切られたいか?お前のあそこがなくなろうと俺はいっこうに―」

「でも」

クリスはルハンの言葉を遮った。

「好きだから、それでも全然かまわない」

ふたりは黙ったまま抱き合った。

「なんだよこのこっぱずかしい会話」

ルハンはクリスの首元に顔をうずめて苦笑した。

「カップルがエッチの後にするピロートークじゃない?」

ルハンは肩をすくめた。

「そうかもね・・・」

経験豊富なルハンではあったが、恋人たちがセックスの後に何をするのか定かではなかった。
誰かと寝ても、その後どちらかが帰って終わりというパターンしか経験がなかったからだ。


Oh.


「そうだ・・・」

ルハンはおもむろに起き上がり、クリスに覆いかぶさった。

「エッチの後カップルが何するか知りたい?」

クリスはキョトンとして起き上がろうとしたが、ルハンに肩を押さえつけられ、顔を撫でられた。

「第2ラウンド」

ルハンはクリスにキスをし、新しいコンドームに手を伸ばしながら、自分の幸運を喜んだ。
過去にいろんな人と寝てきたが、ようやくクリスというジャックポットを引きあてたのだ。
クリスはバカで、おくてで、笑うと間抜けに見えるが、それを補って余りあるほどファンタスティックな男だった。
ルハンは、これ以上の人はいないと感じていた。
そしてもう一度クリスの体を味わおうとしていたその矢先・・・。


「おふたりさん」


取り込み中を意味する靴下をドアの取っ手に巻きつけておいたのに、レイはそれを無視して部屋に入ってきた。
ルハンは大学生活で色んな経験をしてきたが、ルームメイトを追いかけて、素っ裸で廊下を走ったのはそれが初めてのことだった。


END

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