キラカガお誕生日記念小説



「ねぇ、カガリ。」


自分を呼ぶ甘くて優しい声に彼女は振り向いた。
そして明るい声で応答する。


「なんだ?キラ?」


声の主は嬉しそうに笑みを浮かべながら彼女に近づく。
彼女にはその笑顔が心地良い。


「ううん、なんでもない。呼んでみただけ。」

「何だよ、それ!」


そうして二人は笑顔になる。

二人は双子だ。
お互いが唯一の肉親であり、そして最愛の相手であった。

キラはカガリに近づくと、そのままそっと抱きしめた。
その突然の出来事に、カガリは顔を赤らめながら焦った様子でじたばたする。


「おい、キラ!やめろ。こんなところ、誰かに見られでもしたら…!!」

「何で?いいじゃない。だって僕達…」

「姉弟だろ!!」

「……。」


キラの表情は一気に沈む。
その様子に、カガリはまたか。と溜息をもらす。
しかし、そんなキラもかわいいと思ってしまう辺り、まだまだ甘い。
キラはそのかわいらしい顔を熟知しているのか、今度は上目遣いに目を潤ませてカガリのほうを見つめる。
身長だって、キラのほうが高いのに。
これにはカガリももう耐えることはできなかった。


「ごめん!私が悪かったよ、な?キラ。」


その言葉を聞いた途端、キラはカガリに飛びついた。


「やっぱりカガリ大好き!」


先程までの暗い面持ちはどこへやら、キラの表情はぱぁっと明るくなった。


「だ、だから、こんなところで抱きつくなって!!」


照れているのを隠すかのように、カガリは必死に抵抗する。
しかし、コーディネイターであるキラの力に勝てるはずもなく、されるがままになってしまっている。

二人が双子だと判明するより以前から、二人は姉弟としてではなく、男と女として惹かれあっていた。
だが、その事実が明らかになってからというもの、お互い相手に対する気持ちを抑えることができなくなり、逆に溢れかえってしまったのだ。

そして、二人の関係は今に至る。


「僕達は姉弟なのかもしれない…けど、恋人でもあるんだからね。」

「…キラ。わかってるよ。」


かわいいキラ。優しい弟。素敵な恋人。

いつでもカガリは彼に見とれてしまう。
自分より女の子みたいなのに、自分より強い彼。
そんな彼に愛されて自分はなんて幸せなんだろう。




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