深い夢の部屋
□入団
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「君かぁ!!エルヴィンが連れてきた子は!!」
目の前で叫ぶ女?に少しイライラしていた。
地下街から出て、調査兵団に入団して数日。
俺の教育の為に、兵士を一人付けると言っていたエルヴィンの言葉を思い出す。
…別に、こいつじゃなくてもよかったんじゃないかと思う。
うるせぇ。
無駄にうるせえ。
「私はハンジ!ハンジ・ゾエって言うんだ!
これからよろしくね、レイ。」
「…」
「え、無言!?
何か返してくれよ!!」
「ハンジ、声が大きいよ」
騒ぎ立てるハンジにエルヴィンが声をかけた。
…どう対応したらいいのかわからない。
なんだこいつのテンションは。
エルヴィン、こいつ止めてくれないか。
今にも掴みかかってきそうなのだが。
教育係を付ける、と言われたのは昨日のことだった。
一応、俺もある程度の常識は持ち合わせているつもりだ。
地下街にいる奴が、皆すべて犯罪者だとは限らない。
まあ生き延びるために犯罪行為に手を染めなければならないこともあるが。
一応、ある程度の常識は持ってるつもりだが、と告げてみたのだが、地下街と地上と言う環境の差で、多少のズレがあるかもしれないとのことだ。
…なにも、教育係がこいつじゃなくても良かったのに。
まあ、入団することになってしまったからは、俺はエルヴィン達の部下に当たる。
規律やら、色々守らなければならないらしい。
正直面倒だ。
どうして組織というものはこうもめんどくさいのだろう。
今更な気もするが、自分には協調性というものは存在していないと思う。
そんな自分が、ここでやっていけるかどうかはわからない。
…でも、あいつらにも、巨人を倒してきてと頼まれたのだ。
いつか、外の世界を見に行こうと。
こうなったら、周りにどう取られようと、実力を付けていくしかない。
先日行った適性テストは問題無しだった。
あとは技術を身につけていくだけ。
戦い方を覚えたのと同じだ。
今度は、巨人を相手にする戦い方を覚えるだけだ。