short (進撃の巨人)
□保証のない約束
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『ねぇ、リヴァイ?』
開門までの時間が叫ばれる中、馬に跨がった私は、いつもと変わらない声色ですぐ隣で馬に跨がる彼、人類最強のリヴァイ兵士長の名を呼んだ。
「なんだ?」
リヴァイもいつもと変わらず、眉間にしわを寄せたまま私の方を向いた。
『私…―またここに…戻って来れるのかな?』
壁の外なんて、自分の掌からいつ命を手放してもおかしくない。
死にたくない。死ぬなんていやだ。
そう思うけど、私は心臓を捧げた。
人類が捨ててはいけない自由への希望になりたかった。
「戻って来れるなんて保証はねぇ。
マリアにも、俺にも、な」
そう言って、ゆっくり門が開きだすと同時に広がってきた世界を眺めた。
『そうだね。
…―じゃぁリヴァイ、約束しようよ』
私は彼の返事に頷いてすぐに口を開いた。
『壁の中に還ってこれたら勝ち』
そう言って口角をにっと上げる。
「それは約束じゃねぇ、ただの賭けだ」
一秒も経たない間に彼からの訂正が入った。
『そうだね』
へらっと笑い、手綱に込める力をさらに強くし、握りしめた。
外の世界の風景を遮る門が完全に開いた。
『じゃぁ撤退命令のあとでね、
……必ず、戻って来てね。
私も…―必ず戻ってくるから』
そう言い残し、前にいたハンジの後方を追った。
―保証のない約束
未来なんて、誰にも予知できない。
*End