With you
□目覚めたら.
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気づいたときには、私はベッドの上だった。
「…マリア!気がついたか…!」
『馬…?
イヤ、ジャンか……』
意識が朦朧としていたこともありジャンを馬と見間違ってしまった。
いや、本当に冗談なしで。
ごめんよ、ジャン。本当に悪気はないんだ。
「ほんとに酷ぇな、マリア…」
苦笑しながら私に言った。
そういえば、私は気を失って…
『…ジャンが運んでくれたの?』
気を失ったのが本部の外だっため、ここにいるということは誰かが運んでくれたということだ。
そして、最後に隣にいたのがジャンだった事を考えると…
「あぁ…まぁな」
やっぱりか…
そこのところはかなんていうか…
優しいのかな?
『そっか……ありがとね』
私は小さく微笑んで礼を言った。
『…そういえばミカサやアルミンは?』
辺りを見回しても見当たらなかったので問いかけてみた。
「実は…」
*
『なんでもっと早く言わないのよ馬面の馬鹿野郎!!
漢字で馬面の馬鹿野郎って書いたら馬って2回つくぞ!リアル馬か!!?』
私は馬に跨がって審議所を目指してひたすらに馬を走らせた。
「それは…本当悪ぃ…
でも、マリアの体調を考えたら…
あと、オレは馬じゃねぇ…!」
言い訳と文句を言いがら馬を走らせ私の後を追うジャン。
『まぁ、ありがと』
溜め息をつきながらも私の体調を心配してくれていたジャンに感謝する。
彼が言うことには私が気を失っている間に、エレンは意識を取り戻し、キッツ隊長に殺されそうになったところをドット・ピクシス指令に救われた。
その後、トロスト区奪還作戦で破壊された扉の穴を塞ごうとして再び巨人化するも自我を失い、ミカサに拳をふるったそうだ。
それでもアルミンのおかげで自我を取り戻し、犠牲が大きすぎたものの作戦は成功したようだ。
そして、今に至る。
審議所ではエレンを人類の希望とするのか、それとも悪魔ととらえるのかの議論が行われているようだ。
どうして私はこんな重要なことが起こっている中で気を失ってしまったのだろう、精神の弱さが悔やまれる。
「オレはマリア達ほどあいつとの付き合いが長い訳じゃねぇからここから先には入れねぇ。
マリアだけで行くんだ」
審議所の前で馬を止めたジャンは私に言った。
「中に入れば調査兵団の人か憲兵団の人が案内してくれるはずだ。
じゃぁな」
ジャンは私に背を向け馬を走らせていってしまった。
『…ありがとう、ジャン』
聞こえていないだろうが、礼を言って馬から降り、馬をそのままにしたまま審議所に駆け込んだ。