With you

□嘘だと言ってほしい現実を
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もう巨人達が来ている。



私達は立体機動装置を駆使し、巨人達のうなじを次々と削いでいく。


…かなり時間は経ったけど市民の避難はまだ終了していないの?



そんな思考が私の脳内をよぎる。



「マリア!!」



ミカサに名を呼ばれ振り返ると、壁のほうに走っていく巨人がいた。





『あれじゃ危ない…!行かなきゃ!』



私はアンカーを放ち、ガスをふかす。


ミカサも私と少し距離をおいてガスをふかしだした。




………速い、奇行種?



周りの兵士に反応していないところを見ると、そう判断するのが妥当だろう。


『ミカサ!私が討伐補佐する!


巨人の足首を斬るから、ミカサはうなじを削いで!!』


そう伝えると、コクッと頷き、ガスをふかし更にスピードを上げた。



進んでいくにつれて周りの兵士達は奇行種との差が開いているのが見えた。



その兵士達を横目に私達は奇行種のいる方に進む。



ミカサの足手まといになってはいけない、その一心でガスをふかした。



奇行種の足首当たりにアンカーを放ち、横に斬る。



―…しまった、深くえぐりすぎた。


これじゃ刃が使い物にならない…!




焦りのあまりに1回の斬撃で刃を無駄にしてしまった。



しかし私の攻撃でバランスを崩した奇行種はうなじをミカサが可憐に削がれた。



巨人は勢いよく地面に倒れ、その巨人の頭の上にミカサは着地した。


大勢の市民達に囲まれていた。


この人数の多さは尋常じゃない。


私は門に目をやった。




「……は…?」


気の抜けたミカサの声が同時に聞こえた。



門の前で大きな荷台が出口を塞いでいるのだ。



これじゃ避難しようにもできない。


ミカサは少し間を上げて門の方に歩き進めた。




『あ、ちょ…ミカサ!?』



名を呼ぶも、彼女は気づいていない。


仕方ないので私もミカサの後を追っていく。




「何を…しているの?

今、仲間が死んでいる。住民の避難が完了しないから…巨人と戦って死んでいる…」



ミカサは商会のボスと見られる人物に表情一つ変えずに淡々と言った。



「それは当然だ!住民の命や財産を守るために心臓を捧げるのがお前らの務めだろうが!!

タダメシ食らいが100年ぶりに役立ったからっていい気になるな!」



それは…違う。確かに私達の使命は住民の命や財産を守るために心臓を捧げること。



けど…そんな自己中心的なもののために命を捧げた訳じゃない…


『…それは…ちがう…!』
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