きみがいた日
□本音を言えば、
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翌日、私とリヴァイとエルヴィンはユリアを探していた。
勿論、配属班について伝えるために。
「あ!ユリアだ!おーいユリアー!」
私は調査兵団の本部の長い廊下のずっと先を歩いていたユリアを見つけたので、ユリアの名前を叫んだ。
廊下に私の声がこだまする。
呼ばれたことに気付いたユリアは前に進んでいた足を止め、私達の方に引き返してきた。
『ハンジさん、リヴァイ兵長、兄さん…おはようございます』
私達の前で立ち止まり、敬礼をした。
「おはよう、ユリア。直っていいぞ。
お前の配属班についてなんだが…」
エルヴィンがそう言うと敬礼を直し
『配属班ですか、私はどこに配属されるんですか?』
とにこやかな表情で問いかけてきた。
朝から素敵な笑顔だね、こっちまで幸せになる。
「配属されるのは……リヴァイ率いる特別作戦班だ」
エルヴィンがそう告げるとユリアは他人が分かるか分からないかのほんの一瞬、嬉しさを表情に出したが、いつもの涼しげな表情に戻り、
『光栄です』
そう言って再び敬礼した。
私はその表情を見逃さなかった。
『よろしくお願いしますね、リヴァイ兵長』
ユリアはそう言って微笑んだ。
「…あぁ」
リヴァイはそう言ってそっぽ向いた。
…リヴァイめ、照れてるな。照れ隠しが下手な奴め。
「じゃあ私達はこれから次の壁外調査の資料作成についての会議があるから行ってくる、ハンジ行くぞ」
エルヴィンは私を呼んだ。が、ユリアに聞きたいことがあった。
「エルヴィン〜その会議、絶対出なくちゃ駄目かい?」
私はエルヴィンに問いかけた。
「いや…お前は会議に来たらむしろ巨人捕獲作戦の事しか推さないから、出ない方が助かる」
その扱い酷いねエルヴィン、まぁいいや。
「分かった。じゃぁ私はユリアと親睦を深めておくよ!」
私はユリアの肩にぽんと手を置いた。
「ユリア、すまないがハンジの面倒を見ておいてくれ」
そう言ったエルヴィン達は会議に向かった。
「私の面倒を見ておいてくれだなんて酷いなーエルヴィン!」
私がそう言うとユリアは
『皆さん仲がいいのですね』
と言ってクスッと笑った。
『私の知っている兄は、少し内気なところがあったので…』
ユリアはエルヴィンの後ろ姿を過去を懐かしむように眺めていた。
「エルヴィンが内気かぁ…すごく意外」
私もエルヴィンの後ろ姿を眺めた。
その時私はユリアの元に残った最大の目的を忘れかけていて、思わずハッとした。
「ねぇ、ユリア!」
私はエルヴィンからユリアに視線をうつした。
『なんですか?』
ユリアは微笑んだ。
この笑顔は本人がその気がなくても、調査兵団の男共を一瞬で虜にしちゃうね。
「ユリアってリヴァイのこと好きでしょ?」
するとユリアは一瞬にして頬を紅く染めた。なんて分かりやすい子なんだ。
「乙女だねーユリアーっ」
そういっていじると頬を紅く染めたまま肩をすくめる。反応かわいすぎ。
『…誰にも言わないでくださいね…』
「大丈夫だいじょーぶ!誰にも言わない。
応援してるよ!ユリア!」
応援してる、というより絶対ひっつけてやる。
リヴァイのあの態度も明らかに他の女兵士と接するときと違うしね!すごく分かりやすいね2人共!
『ありがとうございます』
ユリアは頬を染めたまま笑った。