きみがいた日

□時を超えて、今
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『なんで・・・お兄ちゃん・・・!!
私を置いて行かないでよぉ・・・!!』


まだ幼い少女は泣き叫んでいた。

「すまない、ユリア」

お兄ちゃんと呼ばれた金髪の少年は少女にすまなさそうに謝罪した。

『私も…おに…ちゃ…と…いっしょに…行く…』

少女は嗚咽混じりに少年に抱きついた。


「ユリア…私はこれから調査兵団に行くんだ…」

少年は抱きついた少女の頭をそっと撫でた。



『ちょうさへいだん…?』


少女は少年の顔ん見上げて問いかけた。


「そうだ…人類に命を捧げるんだよ…」

少年はそう言って再び少女の頭を撫でる。
その顔は少し寂しげだった。



『命を…
え、お兄ちゃん…命って…だめだよ…!
命はたいせつにしなさいってお母さんも言ってたよ…!?』


少し落ち着きだしていた少女は再び叫んだ。


「ユリア…世界は、残酷なんだ…」



寂しげな顔のまま少年は、確かに呟いた。




…あれ…世界は、残酷…?


この言葉、どこかで…



ドッターンっ!!




「…っいってぇ…


って…夢か…」


黒髪に近い色の髪の少年はベッドの下にいた、否、ベッドから落ちていた。


「にしても、変な夢だな…誰だ?あの人達…」

少年は立ち上がり、洗面台に向かった。



…あの男の人、なんか団長に…似てた?
まさか…気のせい…だよな?




―数時間後






「ええええ!!!???
それ本当?!エレン!!!!!!」


眼鏡をかけ、髪を一つにまとめた人が身を乗り出して叫んだ。


「はい…まず、落ち着いてください、ハンジさん…」

エレンと呼ばれた少年は、眼鏡をかけたハンジと呼んだ人をなだめた。


「その夢がどうかしたんですか?」

黒髪の東洋人の様な顔立ちの少女はハンジに問いかけた。

「ミカサ…知りたい?エルヴィンとリヴァイの過去を…」


ハンジは手を組んで顔の前に置き、ミカサと呼ばれた少女に問いかけた。


「聞きたいです!!何があったんですか?!あの2人に!?」

返事をしたのはミカサではなく、エレンだった。

やたらと目を輝かせている。


「私はあのチビの事はどうでもいいけど…エレンが聞きたいなら…聞かせてください」

ミカサは声色一つ変えずに言った。

「分かったよ、話そう。

私の知っている限りでね…」

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