With you

□傍で
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皆が食堂でワーワー騒いでる中、私は少し気分が悪かったため食堂の外にいた。



通り抜ける夜風が頬をなでる。なんだかすごく落ち着く。



しばらくすると中ではジャンとエレンの騒ぎ声がしてきた。

あぁ、またやってるのかあいつらは…なかなかこりない奴らだね…

「よかったなエレン!またそうやってミカサにおんぶに抱っこだ!そのまま調査兵団にもミカサを巻き込むつもりだろ!」

ジャンがそう叫んだのとほぼ同時にミカサとミカサに担がれたエレンが食堂から出てきた。

あぁ、ミカサに止められたんだな、それは言われなくても察した。


ドサッ


ミカサは担いでいたエレンを地面へ放り投げた。


「…いってーな!」

それは痛いよ、エレン…

投げられたエレンに少し同情する。

『エレン大丈夫っ…?』

大丈夫だろうが少し心配になったので問いかけた。

「一応な…」

大丈夫なんだったらよかった。


「熱くなるとすぐ衝動的に行動する…」


まぁそれは言えてるけど、投げるのはやりすぎだミカサ…





「さっきあいつが何か言ってたが……お前…配属兵科の希望は?」

エレンは放り投げられた場所から私の横にやってきて、腰をおろした。



「私は調査兵団にする」


ミカサもエレンの横に腰をおろした。

「お前は主席だろうが…憲兵団に行けよ」


憲兵団に入れるのは上位だけ…それにミカサは歴代の中でも類を見ない才能の持ち主だ。

そんなチャンスを道に捨てるようなこと…


「それも歴代の中でも逸材だとよ…

きっと破格の待遇を受けられるぞ。ミカサだけじゃなくてマリアもな」

『え、私?私はたまたまだよ…』



そう、試験の時にたまたま運がよかっただけ…

ミカサには到底追いつかない…



「あなたが憲兵団に行くのなら私も憲兵団に行こう。

あなたが駐屯兵団に行くのなら私もそうしよう」


ミカサは横目でエレンを見た。


「エレンは私と一緒にいないと早死にする」

言われてみれば確かにそうかもしれない。


小さいときからエレンは何かとミカサに助けられてたし…

「頼んでねぇだろ、そんなことは!

いつまでこんなこと続けるつもりだ!?」


少し迷惑そうに言葉を吐き捨てる。



『こら、エレン!そんなこと…』

私がエレンに注意しようとしたときだった。




「人生が続く限り…」




ミカサがエレンの問いかけに答えた。

本当にミカサのエレンへの想いは強い、そう実感する。私と出会う前からだもんね…



「一度死んだ私を再び生き返らせた恩は忘れない」


ミカサは巻いていたマフラーを少し直した。





「なにより…もうこれ以上家族を失いたくない…」

ミカサの横顔が切なげだった。
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