With you

□皆で
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ザアァァ…

どしゃ降りの雨が地面に叩きつける中、訓練兵は走り続けていた。

地面にできた水溜まりを踏みしめる度、バチャバチャと泥水が宙を舞う。



「どうした、アルレルト。貴様だけ遅れているぞ!」

訓練兵がひたすら走り続けている中、教官が馬にまたがったままアルミンにむかい叫んだ。

「貴様には重いか!?貴様だけ装備を外すか!?」

そう言い残し、アルミンの前を走っていった。

「…クッ」

体力の乏しいアルミンは息切れし、限界に近づいている。

「ハ…く……くそっ…」

すると突然横からひょいと担いでいた荷物を担ぎ上げられた。

「貸せ、アルミン!」

小声でそう言ったのは、ライナーだ。

「ライナー…」

「このままじゃ不合格だぞ」

そう、私達は今まさに訓練兵の卒業試験の真っ只中なのだ。

ここで不合格になってしまば今までの努力が水の泡だ。

「そ、そんなことしたらライナーまで不合格に…」

アルミンは教官に聞こえないよう、小声でライナーに答えた。

「バレねぇように尽くせ…!

俺の気が変わらねぇうちにな!」

「……お荷物なんか、死んでもごめんだ」

アルミンはそう言ってライナーから荷物を奪った。

「な!?オイ!?」

アルミンはライナーの前を走り去った。





(“ライナー・ブラウン”

屈強な体格と精神力を持つ。

何より仲間から高い信頼を得る)

(“アルミン・アルレルト”

体力面において兵士の基準に達しないものの

座学の受け応えにおいて非凡な発想力を見せると聞く。

本人が自分の方向性を獲得すれば、あるいは…)
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