With you

□立ちふさがる壁を.3
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「今となっては兵士になれるかどうかってとこだけどな…恐怖もたっぷり教わったがそれ以上に…」

エレンの目付きが変わった。

「殺さなきゃならねぇと思ったよ…奴らを…一匹残らず」

エレンの覚悟は誰より強い。同じ境遇に立たされているからこそよく分かる。

私もそうだ。
あの時、お母さんを目の前で失って…
あのときの決意は何があっても揺らがない。


「…」

私達の間に沈黙が続く。

「俺にも…」

沈黙を切り開いたのはライナーだった。

「俺にもあるぜ。絶対曲がらないものが…」

皆ライナーに視線を向ける。

「帰れなくなった故郷に帰る。

俺の中にあるのはこれだけだ…絶対に…何としてもだ」

ライナーの目を見れば分かる。真剣な眼差し…ライナーの覚悟は本物のようだ。

ライナーにも揺らがない決意がある。
それがすごく身にしみる。

「あぁ…」

エレン達はあまりの気迫に少し驚いていた。

「ベルトの調整から見直してみろ。明日は上手くいく…

お前ならやれるはずだ。エレン・イェーガーだったっけ?」

ライナーの口角が上がった。

「あぁ、ありがとよ…ライナー・ブラウンだよな?」








その後、私達はエレンとアルミンの部屋のある宿舎に行き、ライナーのアドバイス通りベルトの調整から見直した。

見直しが終わり、自分の宿舎に戻るとミカサが私の方に駆け寄ってきた。

「マリアっ…どこにいたの?」

普段は見せないような顔…本当に心配させたみたいだ。

『ごめん…ちょっと水汲み手伝ってたら遅くなっちゃった…』

…何嘘ついてるんだろ、私。ミカサなら教官に言ったりしないのに…

「そう…マリアは優しいからね」

そう言って私の頭をくしゃっと撫でた。

…ごめん、ミカサ。
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