With you

□立ちふさがる壁を.1
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断崖絶壁の下、適性判断が始まった。



「まずは貴様らの適性を見る!

両側の腰にロープを繋いでぶら下がるだけだ!!

全身のベルトで体のバランスを取れ!これができない奴は囮にも使えん!開拓地に移ってもらう」

いつものように叫んでいる教官の説明が終わり、次々と順番は回っていく。

「これはまだ初歩の初歩だが、この段階から立体機動の素質は見てとれる。

ん・・・」

教官の一人が立ち止まり、言葉を失った。

その数秒後、再び口を開いた。

「見ろ・・・あの子だ」

教官の視線の先にいたのは・・・ミカサだ。

「まったくブレが無い・・・

何をどうすればいいのかすべてわかるのだろう・・・

素質とはそういうものだ」

教官がミカサを見て関心している。

確かに教官の意見に納得できる。まったくブレていない。

軸がしっかりしている。

私もあんな風にできるだろうか、心配が脳裏に浮かぶ。



サシャ、コニーと個性派な顔ぶれたちも皆淡々とこなしていく。

そしてついに私に順番が回ってきた。

教官に言われた通り、腰にロープを繋ぐ。

教官がロープを繋いだのを確認し、ロープを上げるためのハンドルを回した。



・・・あ、案外簡単じゃん

思ったよりも何も考えないでも姿勢を維持できた。

「ほぉ・・・あの子だな・・・マリア・クリスというのは・・・」

教官が口にした言葉は私の耳には届かなかった。

そして私の次にジャンもこなした。

「んん・・・今期はできる者が多い様だな」

教官が呟いたのを耳にした。

「あの・・・彼は・・・」

若い教官が指差した。

「・・・素質というものだろう。

人並み以上にできることがあれば・・・

人並み以上にできないこともある」

若い教官の指差した先にいたのはエレンだった。

・・・嘘だろ、エレン。
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