With you
□残酷な現実を.
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『やだ!お母さん!死なないで!』
「マリア・・・お母さん・・・もう、動けないから・・・」
弱々しい声が耳に響く。
母親は、建物の下敷きになっていて、出血多量。
『イヤ!私お母さんがいないと・・・』
泣きながら叫ぶ私。
「あなたは・・・未来・・・が・・・あるから・・・」
弱々しい声が一層弱くなっていくのが伝わる。
出血が多すぎて体内の酸素が確実に減っている。
「ほら・・・駐屯兵の人が・・・」
力なく指差された先には駐屯兵団の紋章を背中に掲げた男性が1人、こちらに向かって走ってくる。
「大丈夫ですか?!」
少し髭を生やした男性が私達に目線をあわせて、問いかけてきた。
「私は・・・もう・・・出血多量で・・・長くないです・・・
この子を・・・マリアだけでも・・・助けて・・・ください・・・」
『お母さん?何言ってるの?
お母さんも一緒に行くんだよ?!ねぇ!
こんな瓦礫くらい・・・あたしが・・・』
私は母親の上に散乱した瓦礫をどけようとした。
『くぅ〜・・・っ』
身なりもまだ小さく腕はか細い。
こんな瓦礫をどけることができるはずもない。
「お願い・・・マリア・・・もう・・・行って・・・」
さらに弱々しくなる声に私は口答えをした。
『何言ってるの?!お母さん!
私は地区で最強のマリアよ?こんな瓦礫くらい、すぐに・・・』
ただ、瓦礫が動く気配は一向にない。
ズシン、ズシン、ズシン・・・