With you
□審議は.
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「エレン・イェーガーは調査兵団に託す。
そして…マリア・クリスにリヴァイ兵士長と共にエレン・イェーガーと行動してもらう」
俯いていたエレンが微かにだが頭を上げた。
「我々や調査兵団の者達はエレン・イェーガーについて詳しくはない。
そこで昔から顔馴染みのあるマリア・クリスに行動を共にしてもらうことで、同時にエレン・イェーガーについて知ることができる」
私がここに来たことをいつから知っていたのかは定かではないが、総統は私の方を見て手招きをした。
驚きを隠せないまま、言われるまま前に進んだ。
周りの視線が背中に嫌なくらいに突き刺さる。
一歩、また一歩と進み、総統の前で立ち止まった。
前とは言っても総統は壇上に座っているため、私が総統を見上げる状態だ。
「マリア・クリス、できるか?」
審議所の視線は私という媒体一点に集中している。
静けさが審議所を支配する。
『………できます』
*
「すまなかった…
しかし君の偽りのない本心を総統や有力者に伝えることができた」
「はい…」
力なく返事するエレン。
「効果的なタイミングで用意したカードを切れたのも、その痛みの甲斐あってのものだ。
君に敬意を…」
スッと右手をさしのべるエルヴィン団長。
「エレン、これからもよろしくな」
そう言うと口角があがった。
「はい。
よろしくお願いします」
エレンはさしのべられた右手を握った。
「なぁエレン」
「は…はい!」
リヴァイ兵長は私の腰掛けていた方とは逆の位置に勢いよくソファに腰掛けた。
「俺を憎んでいるか?」
ちらりとエレンの方を向いて問いかけた。
「い…いえ、必要な演出として理解してます」
「ならよかった」
びくびくしながら答えるエレン。
恐怖を植え付けられたような感じがする。
「しかし限度があるでしょ…
歯が折れちゃったんだよ、ほら」
ハンジさんの意見がごもっともだと思う。
おかげで人類最強のリヴァイ兵長の第一印象は最悪だ。
「解剖されるよりはマシだと思うが」
いや、問題はそこじゃなくて。
「エレン、口の中見せてみてよ」
ハンジさんにそう言われ、エレンは口を開いた。
「…え?
歯が生えてる」