宵闇に添う一時の永遠を。 時間さえ密やかに刻まれる空間。月光に包まれているかのような儚い笑みがあまりにも愛しくて、夢現のまま視線で語った。 男は僅かに瞠目してから、溜息の替わりに眉を八の字にし、諦めたように瞳を和らげた。 そのときの俺の胸の奮えは、どんな言葉を用いても説明できないだろう。 手を伸ばし淡く光る男の頬を撫で、身体を起こして腕の中に閉じ込める。 後にも先にも、これっきり。 恋人として、抱きしめた。 好きだ。 愛してる。 堕ちてくれ。 それを告げるにはあまりに静かすぎて、腕に力を入れることで想いに代える。 呼応するように強くなった背中に回された掌の感触が嬉しくて、月影に隠れてひっそりと泣いた。 これから終わりが始まるけれど、時限が決まっているわけでなし。 どうかこの一時を、永遠に。 *End* 過去ログ。 |