僕はオトコに生まれたかった。
□拍手LOG。
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同情などいらぬから、
『ただの同情なのに』
そんな嘲笑を、毎夜投げつけられた。
――そんなことはなかった。
それは確かなことなのに、ふとした瞬間、痛みに揺らぐ意識の中にソレはすんなり入り込み、抉られた傷口から多量に血が噴き出すように感情が心を駆け巡る。醜い色をした掌で、傷を隠すももう遅く。逃げようにも術がなく。できることがあるとすれば駆けあがる激情を否定することだけだった。
悲しい、と喚く心には――悲しくない、だって同情ではなかったのだから。
空しい、と嘆く心には――空しくない、だって想いは本物だったのだから。
悔しい、と俯く心には――悔しくない、だって騙されてなどいなかったのだから。
それこそが、弱さだった。
信じているはずなのに、『同情』だったのかもしれないと心の片隅で恐れている。自分は一片の疑念も持たずに、撥ねつけてしまわねばならなかったのに。
「ご……めん」
月影の中、ひとり、呟く。
月明の下、どうか、笑っていてほしい君へ届かぬように。
〜〜幕〜〜
過去ログ。