僕はオトコに生まれたかった。

□拍手LOG。
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愛しているとか好きだとか。

Side-R-



 ただ視線が絡み合っただけだった。

 まだだ、

 けれど、

 強く、

 互いに声は発していないのに、確かに聞こえた言の葉が彼を揺さぶる。

 まだ彼には覚悟ができていない。

 寄り添うように育ってきた自分たち。相手の気持ちはすでに知っていたけれど、素知らぬふりをし続けた。

 確認すれば、確信すれば、終わりが始まるであろうことが明確だったから。

 もう自分は腹を括った。

 あとは彼を待つだけだ。

 だから、いくらでも待とう。

 お前が俺を、堕とす覚悟ができるまで。

「おかわりは?」

 その揺らぎに気づかぬふりをして。

「俺のはまだ入ってる」

 お前を待とう。

 いくらでも、待とう。

 もう一度、視線が囁くそのときまで。


*End*


Side-A-


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