短編集
□右手に剣を
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『ふぅ・・・』
琵管曖は夜の河川敷でため息をついた。
『この世界にトリップしてからもう5日か・・・』
五日前までは普通の女子高生だったのだ。
だが、今はこの世界にトリップした忌むべき者を刈る仕事に専念している。
『私が見ていた世界とは違う・・・けどこうなるのもどこかでわかってた・・・』
刈り疲れてフラフラ細い路地で野宿生活。
たまには草村で寝たい。我が儘を言えばベッドで寝たい。
『あ・・・この匂い・・・』
予想通り雨が降ってきた。
闇に汚れた心身を洗い流してくれる。
曖はしばらく雨に打たれていた。