ダンボール戦機
□守れなかった・守れたよ
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その後、救急車に運ばれたが、悠介は重体だった。
スミレは、奇跡的に軽くあばらにヒビが入ったのと、軽傷で済んだ。
『うぅう・・・ひっく・・・ゆう・・・すけさん』
スミレはショックで悠介の救急搬送からずっと泣いている。
「スミレ・・・」
取り戻そうと誓った後の出来事なので、拓也はかける言葉が見つからなかった。
『どぉして・・・!!どぉして・・・ひっく・・・』
スミレはただ泣き喚いても、現状は変わらないと分かっていた。
だが、涙が止まらない。
自分の虚無感に心が抉れる。
ノックがあり病室に、看護婦が入ってくる。
「宇崎悠介さんは全治10ヶ月です。意識の回復は・・・分かりません・・・」
看護婦が告げた残酷な報告に更にスミレは涙が溢れる。
『うぁ・・・うぁあぁあぁああ!!!!嫌だ・・・いやぁあぁあぁああ!!!!』
スミレは収まりかけていた涙がとめどなく溢れる。
「スミレっ・・・」
拓也も涙を溢れさせながら、スミレの手を握りしめる。
看護婦はスミレが搬送されてからずっと付き添っていたからなのか、感情移入したのか涙をこらえている。
『あぁあぁあぁああ!!!!いやだぁあぁあぁああ!!!!』
スミレの悲しみの叫びは次の朝まで轟いた。