ダンボール戦機

□新たなる戦い
1ページ/2ページ



『ん・・・』


スミレが目を覚ましたのは事件から一週間後だった。


医師からはスミレは頭の機械の情報が少なすぎるが問題で、普通の人間と変わらない手術しか施せなかった。


拓也は何もスミレにしてやれない自分を怨みながら、スミレの側にいることにした。


『拓也さん・・・寝てる・・・』


スミレはすやすや寝ている拓也を見て、時計を探す。


時計は十二時半過ぎを指していた。


そして、拓也の携帯が先程から五月蝿く鳴り響いているのにスミレは気付いた。


『拓也さん!拓也さん!起きてください!携帯鳴ってますよ!!』


スミレは拓也の体を揺する。


「んん・・・兄さん・・・起こさないで・・・くれ・・・」


拓也は寝ぼけている。


『拓也さん!!いい加減にしてください!!!!!!』


スミレの罵声に拓也は飛び起きる。


「・・・っ、!!スミレ!!」


拓也は渾身の力でスミレを抱きしめる。


『グェ・・・』


あまりの力強さにスミレは意識が飛びそうになる。


「よかった・・・!!!!」


拓也の胸板をバシバシ叩くが、力は弱まらない。


このままでは窒息死しそうだ。


そんなことをスミレは思っていたら、拓也が抱きしめなおした。


「もう・・・離さない・・・」


『拓也さん?』


スミレは顔を上げると、拓也にキスをされた。


愛おしむようにその後も何度も繰り返された。


スミレは機械を外されたままのアクセス制限されたはずの頭がヒートアップしていくのを感じた。


『ん!ん!た・・・拓也さん!!』


流石にこれはいけないと感じたスミレは拓也を渾身の力で退かす。


その後、また抱き締められる。


『もう離さない・・・スミレ・・・俺のブライト・・・』


携帯の音と一緒に拓也の言霊がスミレの頭に鳴り響いて頭のプログラムの何らかのファイルに焼き付いた。


 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ