ダンボール戦機
□アングラビシダス
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『・・・荒木博士』
記憶が戻らないことがこんなにももどかしいとは スミレは知らなかった。
『僕は・・・本当の僕は・・・どんな名前だったんだろうか・・・』
最近はそのことばかり考えている。
「また、記憶のことか。そんなに焦らなくていい」
bluecatsで考え老けていると拓也が隣に座ってきた。
『ねぇ、マスター。私はなにに見えますか?』
スミレは本当に今の自分は機械なのか人間なのか分からない。
「俺は・・・ スミレは スミレだと思う」
『・・・?それはどう捉えれば宜しいのでしょうか』
スミレは思わず拓也を見上げる。
「例え スミレがどんな生物だとしても スミレは スミレの心は人の優しい感情を持ち合わせていると信じたい・・・これでは答えになっていないか?」
スミレは俯き、胸に手を当てる。
「・・・私の心・・・感情・・・今の私には分かりません。マスターに尽くすよう頭の機械にインプットされていますから」
拓也は スミレの頭を撫でる。
「いっそそのプログラムをアインストール出来ればいいのにな・・・」
『・・・私にはその権限すら与えられていません』
スミレはフルフルと力なく、頭を振る。
「・・・まあ、今のままの スミレでいい。そう焦るな」
拓也の優しさに、 スミレの心が震えた。