ドラゴノーツ

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逃走癖のあるメロは人にぶつかった。


「痛い!」


黒髪の騎射な体つきの男性だった。


『ごめんなさい。大丈夫?』


メロはその男性に手を差し伸べる。


「大丈夫。僕もぼーっとしていたから」


男性がメロの手を取って、立ち上がる。


『どうしてぼーっとしていたの?』


「・・・ここじゃ立ち話になるし、場所を変えよう。こっちに来て」


今度はメロが男性に手を差し伸べられて、メロが手を取った。


テレビのついたモニター室に着いて、の椅子に腰掛けた。


「ぼーっとしていたのは僕がドラゴンを持てないことについて考えていたんだ」


『そうなの?ドラゴンとレゾナンスしたら何がしたいの?』


メロは問いかけてみた。


「・・・姉さんみたいに、地球を守りたい」


『守りたい・・・そう・・・』


メロはその男性の額にキスをした。


「な、な、な、」


男性は顔を真っ赤にして、口をパクパクさせている。


『ドラゴンからのおまじない』


「君はドラゴンなの?」


男性がメロの顔を見て、問いかけた。


『うん。私グラウドって呼ばれてる。本当はメロって名前なの』


「オリジナルドラゴン・・・リンドブルムユニットが捕獲した・・・」


男性はしばらく、メロの顔を見つめて、少し頬を染めて、離れた。


「僕は姉さんがドラゴンを持ってるのに僕が持てない劣等感でぼーっとしていたんだ。姉弟特有の・・・」


『・・・焦らないで?大丈夫。あなたには守りたいという思いがある。自信を持って』


メロは男性の肩を掴む。


『あなたは、ドラゴンが好き?特別?』


「う、うん。特別な存在だよ。なんていったって・・・ん」


メロは男性の唇にキスをした。


『ドラゴンにも感情があるの。兵器なんて言わないで。特別ならなおさら。あなたの足りない物はそれだと思う』


メロの美しさに、男性は息を呑んだ。


「僕はユウヤ。ハバラギ・ユウヤ」


ユウヤは絞り出した声で言った。


『ユウヤ、ドラゴンを大切にしてあげて』


「あの、なんで、キスしたんですか?」


ユウヤは胸の鼓動がはやくなり、途切れ途切れでメロに質問する。


『あなたがドラゴンが好きで特別なら、そのドラゴンになってキスした』


「う、うん・・・」


『好きで特別な人にキスするってライナが言っていた』


「え?それって」


ユウヤはメロの答えに、押し黙る。


『どうしたの?』


「好き、恋している人に言う台詞だと思います」


『恋?鯉?あの赤い・・・魚?』


「違います!」


ユウヤはメロの鈍感さに泣きべそをかいた。


 
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