ドラゴノーツ

□違うの
2ページ/5ページ



『ハァハァ・・・ここまでくれば・・・ハァ・・・』


メロは慣れない街の建物の路地を周りながら、赤毛のツンツンを撒いた。


『つ、疲れた・・・ハァ・・・ハァ・・・』


メロは滅多に出さない最大速度で走りつづけたため、すぐにへばってしまう。


(観測用のドラゴンだから、こっちの体には体力の配分はそんなにないみたい・・・)


メロはドラゴン時には逃げるためにかなりの力をマザーに与えられた。


だが、コミュニケーター時に他のドラゴンとは違い、体力配分などが不足しているようだ。


『疲れた・・・』


とりあえず、疲れたので、路地のコンクリートに座り込んだ。


(どうしよう・・・大分あの海から離れてしまったわ・・・)


無我夢中だったので、帰る道が分からなくなってしまった。


(きっと、ライナに近づきすぎた罰ね・・・)


ふと、メロが顔を上げると、赤毛のツンツンが槍を持って此方に急降下してきていたところだった。


『!?』


ギリギリでメロはかわした。


『ハァ・・・ハァ・・・さっきからあなたは何がしたいの?追いかけっこ?』


息を切らしてメロは喋る。


赤毛のツンツンは驚いた素振りを見せたが、此方の質問にちゃんと答えてくれた。


「・・・あんた、ドラゴンだろ。ライナに何のようだ」


どうやら、彼はメロがドラゴンだと気づいていたようだ。


『・・・私は彼にこの姿になったことを見せたかっただけなの』


メロは素直に彼の質問に答える。


「馬鹿を言うなよ。ライナとレゾナンスしただと?ライナのドラゴンは俺だけだ!」


彼は狂ったように、槍を突き出してくる。


(早い・・・!)


メロはとっさに刀をだす。


ガイィンガイィンと刃が交錯する音が響き渡る。


『ハッ、ハッ、ハッ』


メロは息を切らしながら、猛攻に耐える。


「ハウリングスター?いたら返事をしてくれ。・・・全くどこに行ったのやら」


近くでライナの声がした。


(ライナ・・・!)


メロはライナの声に気づいたが、一方のハウリングスターは気付いていないようだった。


『待って。ハウリングスター。近くにライナがいるの。一時休戦にしましょう』


「ライナ・・・?」


ハウリングスターは槍を動かす手を止めた。


辺りをキョロキョロする。


「なにも聞こえないな。時間稼ぎか?」


ハウリングスターはまたメロを猛攻で攻め始める。


『違うの!本当に近くにいるの!』


だが、彼は攻撃を止めない。


(どうして・・・?)


メロはライナの近づいてくる足音を聞きながら、疑問を浮かべていた。


 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ