ゾイドジェネシス
□襲撃
1ページ/8ページ
『はぁ・・・』
真矢はゴツゴツした岩に座り込んだ。
さっきのロンの言葉が頭の中でこだましている。
『・・・なんなのよ一体!庇ってくれたり、一緒にこようとか!干渉したくないって言ってるでしょうが!!!!』
真矢はウガーっと言う感じで向こうに吠える。
『・・・早く帰りたい』
「おい。そこのお前」
後ろにはディガルドの真矢の個人的にダサいスーツを着たモブがそこにいた。
『な、な、なんすか・・・?』
「この山にあるアジトの人間か?」
モブは銃口を此方に向けながら聞いてくる。
『んな訳ないでしょう。第一アジトって何ですか?私、迷子なの。ここに私の父の墓があるの・・・そう、それは不幸な事故だった・・・』
真矢は咄嗟に思いついた嘘の設定を語り出す。
あまりの真矢の演技振りに思わずモブも銃を下ろした。
『父はここを買い取り開拓を始めました。私と母も三人で住めると喜んで開拓の手伝いをしていました・・・ですが、ある日いつものようにテントを張って休んでいたんです。父が見張りについているとき、獣に気づいて散弾銃を発砲したんです・・・ですが・・・』
モブはいつの間にか、感情移入したのか、瞳を潤ませていた。
『獣は群れをなしていました。父は群れに気づいて独り危害のないところへ行き襲われ、翌日亡き人になっていました・・・私と母はこの山を開拓する気も失せ、もといた母の実家に引きこもるようになり、母は何時の日か病気になりました・・・母は息を引き取り、私はこの山と共に二人に置き去りになったんです・・・』
モブは真矢が話し終わると盛大に泣き崩れていた。
「うぅ・・・お嬢ちゃん・・・辛かったなぁ!!!!」
モブのおじさんは、真矢の肩を掴んだ。
「お兄さんがその悲しみを癒してあげるよ・・・」
気づくと、そのおじさんははぁはぁと、息を荒くし、頬を赤く染め上げていた。
その気持ち悪さに真矢は後ずさりする。
『いいです!!!!いらないです!!!!』
真矢は必死におじさんを押し返す。
「照れなくてもいいんだよ。悲しい心を僕が埋めてあげるからさぁ!!!!よく見たら君、美人なんだもん!!!!はぁはぁ・・・」
モブおじさんは真矢を押し倒そうとする。
『いや!!!!』
「大人しくしろよ!!!!」
モブは真矢の顔を容赦なく殴る。
『いや!!!!いや!!!!放して!!!!』
真矢はそれでも抵抗を続ける。
すると、足音が聞こえてくる。
(誰よ・・・)
モブおじさんは真矢を襲うことで頭がいっぱいで聞こえてないが、真矢は増援ではないかと、冷や汗がさらに吹き出る。
はっきり見える位置まできて、初めてロンだと分かる。
「おもしろそうだね。僕も混ぜてよ」
ロンの瞳はレンズが光って見えなかった。
「なんだ。兄ちゃん混ざるか?」
「嗚呼。君を殺した後でね」
ロンは躊躇いもなく、銃口を男の頭に向けぶち抜いた。
真矢の服に血飛沫が大量につく。
『ろ、ろん・・・?』
「・・・帰るよ」
ロンは真矢を引っ張り上げる。
レンズはやっぱり光っていて瞳は見えなかった。
『あの・・・私服の汚れ落としたい・・・です・・・』
真矢の言葉にロンは頷いてくれた。